豊田達郎

豊田達郎：トヨタ自動車を支えた実業家

豊田達郎（とよだ たつろう）は、1930年6月1日、愛知県名古屋市に生まれ、2017年12月30日に肺炎のため88歳で逝去した日本の実業家です。彼は、トヨタ自動車株式会社の第2代社長（工販分離前から数えると第7代）や、ニュー・ユナイテッド・モーター・マニュファクチャリング（NUMMI）の初代社長などを歴任し、トヨタグループの発展に大きく貢献しました。彼の功績は多岐にわたり、自動車業界だけでなく、社会全体に影響を与えました。

生い立ちと学歴

豊田達郎は、トヨタグループの創始者である豊田佐吉を祖父に持ち、トヨタ自動車の創業者である豊田喜一郎の二男として生まれました。幼少期は東京で過ごし、旧制東京都立第一中学校（現在の東京都立日比谷高等学校）に通いました。戦時中の東京大空襲で自宅が焼失した際には、豊田家の位牌を持って脱出したというエピソードも残っています。

旧制第一高等学校を経て、1953年に東京大学工学部機械工学科を卒業。その後、ニューヨーク大学経営大学院で経営学修士（MBA）を取得し、経営に関する専門知識を深めました。

トヨタ自動車でのキャリア

大学院修了後、豊田達郎は1953年にトヨタ自動車販売に入社しました。1974年に取締役に就任し、1980年にはトヨタ自動車販売取締役となりました。1982年の工販合併に伴い、トヨタ自動車常務に就任し、その経営手腕を発揮し始めました。

1984年には、トヨタ自動車とゼネラルモーターズの合弁新会社であるNUMMIの設立準備室長として、アメリカに赴任。NUMMIの社長として、日米の自動車産業の協力関係を築き上げました。その後、トヨタ自動車専務、副社長を経て、1992年に社長に就任しました。

社長在任中は、グローバル化の推進や、環境問題への取り組みなど、多岐にわたる課題に取り組みました。1995年に病気療養のため取締役副会長、取締役相談役となり、その後は非取締役となりました。

その他の活動

豊田達郎は、トヨタ自動車の経営だけでなく、経済同友会副代表、日本自動車工業会最高顧問、豊田中央研究所代表、トヨタ学園理事長、トヨタ財団会長など、数多くの役職を歴任しました。また、豊田工業大学とシカゴ大学の共同事業である大学院大学（Toyota Technological Institute at Chicago）の設立にも尽力し、2003年には最初の入学式に出席するなど、精力的に活動しました。

家族と親族

豊田達郎は、トヨタグループの創始者一族の一員として、多くの著名な人物と親戚関係にあります。妻は清水康雄（清水建設元社長）の娘であり、長男は元デンソー副社長の豊田達也です。トヨタ自動車会長の豊田章男は甥にあたります。その他にも、三井家や、大昭和製紙創業家など、日本の経済界や政界に影響力を持つ家系と縁戚関係にあります。

栄典

豊田達郎は、その功績が認められ、1992年に藍綬褒章、1994年にブラジル連邦共和国南十字星国家勲章、1999年に勲一等瑞宝章、2000年にデンマーク王国ダンネブロ勲章ナイト章を受章しました。また、2018年には従三位を追贈されました。

豊田達郎は、トヨタ自動車の発展に大きく貢献しただけでなく、日本の経済界、教育界、社会貢献活動においても重要な役割を果たしました。彼のリーダーシップと先見の明は、今日のトヨタグループの成功の礎となっています。

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