赤報隊

赤報隊の概説

赤報隊（せきほうたい）は、幕末の江戸時代後期に形成された草莽隊であり、主に長州藩や薩摩藩を中心とした新政府のもとで活動していました。彼らは王政復古の大号令によって官軍とされ、国のために立ち上がった若者たちの集団でした。彼らの使命は、旧幕府勢力に対抗し、新しい政権の確立を目指すことでしたが、実際の活動には複雑な事情がありました。

結成と活動の経過

赤報隊は慶応4年1月8日（1868年2月1日）に、近江国松尾山の金剛輪寺にて結成されました。隊長には相楽総三が就任し、公家の綾小路俊実や滋野井公寿らも盟主となっていました。隊名の「赤報隊」は、「国への恩に報いる」という思いから付けられました。本隊は一、二、三の三つの部隊で構成されていました。

相楽総三は薩摩藩邸の浪士隊の総裁として、下野や相模、江戸などで旧幕府軍に対する挑発行為を行っていました。これが、戊辰戦争のきっかけとなる鳥羽・伏見の戦いへとつながりました。赤報隊は新政府の許可を得て活動し、各地で「年貢半減」を掲げ、人々の支持を集めました。しかし新政府がこの方針を正式に認めないことが次第に問題となりました。

赤報隊の行動は各藩からの圧力を受け、新政府から帰還命令が出されましたが、相楽たちはこれを無視して活動を続けました。最終的に2月17日には追分宿で小諸藩の襲撃を受け、惨敗してしまいます。その後、相楽や渋谷総司らは処刑されることになり、赤報隊は解散を余儀なくされました。

黒駒勝蔵の加入

赤報隊には、甲斐国上黒駒村の博徒である黒駒勝蔵が加わっていました。勝蔵は他の博徒との対立を経て、慶応4年の正月に偽名を使って赤報隊に加入します。しかし、相楽の処刑後、勝蔵は京都で新政府の部隊「徴兵七番隊」に参加。最終的には新政府に捕縛され、処刑されたという悲劇の経歴を持ちます。勝蔵は尊王思想を持っており、彼の思想的背景には地域の指導者たちからの影響があったとされます。

名誉回復の経緯

赤報隊員の処刑後、彼らの名誉回復の動きが始まります。明治3年、元赤報隊員による兵部省への嘆願書提出がきっかけで、処刑場跡に「魁塚」が設立されます。相楽総三と渋谷総司には後に位階が追贈され、一部の名誉は回復されました。戦後には赤報隊を顕彰する集まりも行われ、年月が経つ中で彼らの存在が再評価されることになりました。

今でも毎年4月3日には魁塚で供養の祭りが行われ、赤報隊の関係者が彼らの功績を振り返っています。その一方で、同じように「偽官軍」とされていた高松隊の小沢一仙は名誉回復には至らず現在に至ります。

赤報隊の実態

赤報隊は「官軍の捨て駒」という悲劇の主人公として扱われてきましたが、彼らの行動全てが正義だったわけではありません。幕末の動乱の中で、相楽たちは積極的に挙兵を計画し、旧幕府に対する攻撃を続けていましたが、これがいつしか民衆の暴動を招くことにも繋がりました。彼らは独自に金融を得るために豪商を襲撃し、これが更なる対立を生む結果となりました。

それでも、赤報隊は新政府設立の過程で重要な役割を果たした側面があることは否定できません。彼らの歴史は、単なる戦闘集団に留まらず、その背後にある人間ドラマや志、苦悩を含んでいます。戦後もその影響力は受け継がれ、今日に至るまで多くの人々に語り継がれているのです。

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