滋野井公寿

滋野井公寿：激動の時代を生き抜いた公家・官僚

滋野井公寿は、幕末から明治時代にかけて活躍した日本の公家、内政官僚、そして華族です。甲府県知事を務めたことでも知られ、その生涯は激動の時代を象徴する出来事に彩られています。

近衛家と攘夷運動

近衛権中将・滋野井実在を父に持つ公寿は、安政3年（1856年）に元服し、侍従となりました。若き日の公寿は、攘夷の志を強く抱いていました。文久3年（1863年）、西四辻公業と共に後醍醐天皇陵で攘夷を祈願するなど、時代への強い危機感と政治参加への熱意を示しています。慶応3年（1867年）には、英国公使一行の伏見通過に際し、父や鷲尾隆聚らと共に朝廷へ警護の強化を強く訴えました。

赤報隊盟主への擁立と佐渡・甲府での活躍

慶応4年（1868年）、公寿は綾小路俊実と共に、尊王攘夷運動組織である赤報隊の盟主に擁立されました。しかし、活動中に金穀の強要などが問題となり、召喚令を受けて帰京しています。王政復古後、明治元年（1868年）4月には佐渡裁判所総督に就任。佐渡鎮撫使を経て、同年10月には甲斐府知事（後に甲府県知事）に就任しました。甲府城守も兼務し、地方行政に携わりました。明治3年（1870年）9月には、水害による凶作への対応で独断による救恤処置を行い、問題視されて謹慎、翌月には知事を辞職しています。

華族としての地位と晩年

知事辞職後、公寿は桂宮祗候などを務めました。明治11年（1878年）4月30日には父の実在が死去し、滋野井家当主を継承。明治17年（1884年）7月7日には伯爵に叙爵され、華族としての地位を確立しました。

家族と親族

公寿の家族については、養嗣子に滋野井実麗（伯爵、石井行光四男）、長女に岩子（田中遜夫人〔離縁〕、中川興長夫人）、娘に武子（実麗夫人）がいました。

参考文献

公寿の生涯を知る上で重要な参考文献として、以下の書籍が挙げられます。

歴代知事編纂会編『新編日本の歴代知事』歴代知事編纂会、1991年
秦郁彦編『日本官僚制総合事典：1868 - 2000』東京大学出版会、2001年
霞会館華族家系大成編輯委員会『平成新修旧[[華族家系大成]]』上巻、霞会館、1996年
日本歴史学会編『明治維新人名辞典』吉川弘文館、1981年
* 安岡昭男編『幕末維新大人名事典』上巻、新人物往来社、2010年

これらの文献は、公寿の生涯や活動、時代背景を理解する上で貴重な情報源となっています。彼の生涯は、激動の時代を生き抜いた一人の公家の物語であり、日本の近代化に貢献した人物の一人として、歴史にその名を残しています。

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