走塁放棄

走塁放棄（そうるいほうき）について

走塁放棄とは、野球において走者が一塁に触れた後、その走路から離れ、次の塁へ進むことを放棄した場合を指します。この状態において審判員が走塁放棄と判断すると、走者はアウトとなります。

走塁放棄の規定

走塁放棄は、公認野球規則の5.09(b)(2)に明記されています。この規則によると、走者が走る意志を明確に放棄すると認定されたとき、アウトとされます。特に、走者がもうプレイが続けられないと判断し、ベースパスを離れてダッグアウトや守備位置へ向かった場合、審判によってその行為が走塁放棄と解釈され、アウトとなるのです。

たとえ走者がアウトを宣告されても、試合は続きます。他の走者はボールインプレイの状態が維持されるため、引き続き走塁を行うことができ、触球された場合のみアウトとなります。

規則制定の背景

1959年に発生したミルウォーキー・カウンティ・スタジアムでの試合が、走塁放棄の規定が作られるきっかけとなりました。この試合では、右中間の本塁打を打ったジョー・アドコック選手が、本塁に向かう途中で一塁のベンチに戻ろうとしてアウトとなりました。審判は得点を認めましたが、その後の裁定により、アドコックの行動によって本塁打が二塁打に訂正されることになりました。このような経緯から、走塁を放棄した選手には速やかにアウトを宣告するための規定が整備されました。

実例

2015年の全国高等学校野球選手権の試合において、白樺学園と下関商業の対戦中に、走者が飛球の捕球状況を誤解し、一度戻った後、再び走り出した際にアウトとなってしまいました。このように、走塁放棄は選手が直面するリスクの一つとして特に注意が必要です。

フォースプレイとの関係

日本の公認野球規則5.09(b)(2)には、走者がフォースの状態である場合、この規則は適用されないと定められています。これは1985年の改正によって設けられた注釈であり、特に試合終了の際に走者が進塁の義務を見失って次の塁を狙う場合に関するものです。この改正は、過去に試合を誤って決定づけたケースを受けたもので、走者の安全を確保するための措置でもあります。

まとめ

走塁放棄は野球における重要な規則であり、選手がなぜ走者としての義務を果たさなければならないのかを示す警告となります。選手たちは、今後の試合でこの規則を理解し、誤解によるアウトを回避するために注意を払わなければなりません。

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