蹴手繰り

蹴手繰り（けたぐり）

蹴手繰りは、日本の伝統的な武道、相撲における決まり手の一つです。この技は、対戦相手との立合いの際に相手の足を蹴り、さらにその流れで相手を倒すというものです。例えば、自分の右足を使って相手の右足を狙うことが一般的ですが、左足で左足を狙うこともあります。また、実際には足を蹴るだけでも相手が倒れれば、この技が決まり手として認められます。このように、蹴手繰りは攻防の中で瞬時に展開されるもので、その一瞬の判断が結果を大きく左右します。

大相撲における蹴手繰りの歴史と実績

蹴手繰りは特に小兵力士に多く用いられる技のイメージがあります。歴史的にも、元関脇の海乃山や藤ノ川、元小結の二子岳、また元幕内の出羽湊や星岩涛といった力士たちがこの技を得意としました。平成時代には、元小結の時天空がこの技を駆使して数多くの勝利を収めました。特に2012年3月場所の5日目には、当時大関だった稀勢の里に対して蹴手繰りを決め、見事に勝利を収めたことが注目されました。

この技は、1941年5月に櫻錦が双葉山に対して決めたことや、1964年7月に海乃山が大鵬に対して使ったことが著名で、特に海乃山が大鵬を休場へ追い込んだ一番は多くの相撲ファンの記憶に残っています。櫻錦の一番では、実際には「飛び違い」とも呼ばれる手法で双葉山の首を叩いて倒すという一連の流れがあり、技名そのものに新しい解釈を与えています。

しかしながら、この蹴手繰りは軽量の力士が上位の力士に挑む際に、奇襲の方法として使われることが多いですが、大型の力士である吉葉山もこの技をよく用いました。彼は平幕時代に多くの勝利を蹴手繰りで挙げたものの、横綱に昇進後はその成功がわずかにとどまっていました。

蹴手繰りの現代相撲での使用事例

近年では、2006年11月場所の横綱朝青龍がこの技を使い、小結稀勢の里に勝利を収めましたが、立合い時の奇襲が横綱として相応しくないとの批評を受けることもありました。また、2007年には再び雅山戦で蹴手繰りを仕掛けましたが、失敗に終わった例もあります。

最近の取組でも、2017年5月場所では荒鷲が豪風に対して蹴手繰りを決め、2021年11月場所では朝乃若が琴勝峰に対して同技を用いて白星を挙げています。これらのケースからもわかるように、蹴手繰りは相撲界において一定の重要性を保ち、今なお多くの力士に利用される技術として存在し続けています。

脚注

• - 大相撲の決まり手一覧
• - 蹴返し

このように、蹴手繰りは相撲における非常に魅力的な技であり、その活用法や歴史には多くのドラマがあります。

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