通信カラオケ

通信カラオケ：進化の歴史と業界構造

通信カラオケは、専用回線や電話回線を通じてサーバーから楽曲データなどを配信し、演奏するシステムです。MIDIデータを用いた配信が主流ですが、家庭用ゲーム機やスマートフォン、パソコンでも、業務用と遜色のない高品質な通信カラオケを楽しむことができます。

通信カラオケの隆盛：低価格化と最新曲へのアクセス

通信カラオケシステムは、CD発売と同時に新曲を配信できる点が大きな魅力です。配信会社への契約料とJASRACへの使用料、カラオケ機器の導入費用さえあれば、常に最新の楽曲を歌唱できます。このシステムは、従来のレーザーディスクやビデオCDを用いたカラオケシステムに比べてランニングコストが低く抑えられ、カラオケの低価格化と大衆化を大きく促進しました。

初期の通信カラオケでは、歌本と呼ばれるリクエスト番号一覧を参照して曲をリクエストする方式が一般的でしたが、2000年代以降はDAMの「デンモク」などに代表されるタッチパネル式端末が登場し、操作性が大幅に向上しました。これらの端末はリモコン機能も備えており、現在では多くの店舗でリモコンは廃止されています。

通信カラオケ機器の技術：単体と統合システム

通信カラオケ機器には、単体通信機と統合システム機があります。単体通信機は、機器本体で映像・音声の再生とミキシングを全て行いますが、統合システム機は、別途再生されたコンテンツの映像・音声信号がコントロール機器本体に入力される仕組みとなっています。

多くの機種は映像・音声の外部入力端子を備えていますが、これはカラオケ再生時以外のBGVやBGM用に設けられたものであり、カラオケ再生中は中断されます。外部入力端子の利用には、管理者レベルの操作が必要です。通常設定では、曲間にはランキング情報やプロモーション映像などが低音量で流されます。

複数メーカー機種を同時利用できる統合システムでは、各カラオケルームの端末機器は予約や音量調整などの管理機能のみを担当し、実際の楽曲再生は店舗内の管理場所で各メーカーの機器で行われます。演奏音声と映像はケーブルで各部屋に配信されます。店舗の規模や立地によって、機器の設置場所や表示方法に工夫が見られます。

映像と音質の進化：高画質化と生演奏音源

BGVは、レーザーディスク、ビデオCD、DVD、または内蔵HDDから再生されます。楽曲に合わせた映像が自動的に選択されるほか、プロモーションビデオやアニメ映像などが使用されるケースも増えています。特にアニメ映像は、近年では曲の尺に合わせた制作が主流になり、クオリティが向上しています。

近年はHDDのRAID導入やネットワークによる自動バックアップなど、システムの信頼性向上のための技術革新が進んでいます。

通信カラオケ黎明期の課題と克服

2000年代以前の通信カラオケ機器には、楽曲データや背景映像の不足、ADSL回線の利用地域制限、MIDI音源による音質の低さ、移動体への設置困難さといった課題がありました。しかし、ブロードバンド回線の普及、機器の高性能化、HDD容量の増大などによって、これらの課題は大幅に改善されています。現在では、高音質・高画質な生演奏音源の配信や、アニメソングやVOCALOID曲などマニアックな楽曲の配信も実現しています。

専属楽曲と業界競争

1971年以前の楽曲の中には、JASRACに信託されていない「専属楽曲」が存在し、カラオケで配信するにはレコード会社の許諾が必要です。コストの都合上、低料金のカラオケルームでは導入されないケースも多くあります。専属楽曲の独占使用をめぐる業界間の競争も激しかった歴史があります。

業務用通信カラオケ機器：主要メーカーと機種

2000年代以降の業務用通信カラオケ市場は、第一興商とエクシングの2社が中心となっています。両社は、それぞれ「DAM」シリーズと「JOYSOUND」シリーズを展開し、激しい競争を繰り広げてきました。エクシングは、BMBの吸収合併によって「UGA」シリーズも展開しています。過去のメーカーや機種についても以下に記述します。

第一興商（DAMシリーズ）

業界最大手で、「DAM」シリーズを展開しています。高い市場シェアを誇ります。

エクシング（JOYSOUND、UGAシリーズ）

業界第2位で、「JOYSOUND」シリーズと「UGA」シリーズを展開しています。JOYSOUNDはデイ市場、UGAはナイト市場に強いとされています。BMBの吸収合併によりUGAシリーズの権利を獲得しました。過去にはBMB、タイトー、日本ビクターなどの機種も引き継いでいます。 以下にBMB、タイトー、ビクター、パイオニア、USEN、セガ、CTA、ギガネットワークス、コシダカなどの業務用通信カラオケ機器について、機種名、発売時期、特徴、サービス終了時期などを記述します。 （各メーカー、機種の詳細な説明は省きます）

家庭用通信カラオケ機器：主要メーカーと機種

家庭用通信カラオケ市場も、かつては様々なメーカーが参入していました。タイトー、セガ、タカラ、バンダイ、パナソニックなどが家庭用通信カラオケ機器を発売していましたが、現在はサービスを終了しているものがほとんどです。 （各メーカー、機種の詳細な説明は省きます）

統合システム：複数機種対応とシステム連携

「Σsystem（シグマシステム）」、「鉄人システム」、「ALISA III」、「MAC21システム」、「トウエイシステム」など、複数のカラオケ機種に対応した統合システムも存在します。これらのシステムは、機器間の連携や多様なコンテンツ提供を可能にしています。

まとめ

通信カラオケは、技術革新と業界競争を通じて発展を遂げてきました。高音質、高画質、多様なコンテンツ提供など、利用者のニーズに応えるべく進化を続けており、今後もその発展が期待されます。

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