長禄・寛正の飢饉

長禄・寛正の飢饉

長禄・寛正の飢饉（ちょうろく・かんしょうのききん）は、1459年から1461年にかけて日本全土で発生した深刻な飢饉です。この時期、日本は旱魃や水害、疫病が重なり、特に西日本で被害が大きかったとされます。史資料としては『碧山日録』や『大乗院寺社雑事記』に多くの記録が残されています。

経緯

1459年の長禄3年、日本各地では深刻な旱魃が発生しました。この年には、関東地方で享徳の乱が勃発し、畿内では台風の影響もありました。これにより、西日本を中心に飢饉が引き起こされました。翌年には大雨が続き、再び水害と旱魃が交互に訪れ、さらに虫害や疫病が加わることで飢饉の状況は全国的に拡大しました。当時の畠山氏と斯波氏による内乱が状況を悪化させ、特に両氏の領国では悲惨な状況が続きました。

京都は特に甚大な被害を受けました。1459年の旧暦8月には暴風雨が襲い、賀茂川が氾濫しました。この洪水により、多くの家屋が流され、死亡者が多数発生しました。さらに、1461年の寛正2年には、飢饉がますます深刻化し、流民が多数京都市内に押し寄せました。この年の初めの2か月だけで8万2千人もの餓死者が出たとされています。飢饉の状況にもかかわらず、室町幕府の将軍、足利義政は宮殿の改築に没頭し、事態への対応が遅れました。見かねた後花園天皇からの諫言も無視されましたが、足利義教の霊が夢に現れて民の救済を命じる話も伝えられています。

救済活動

この時期、時宗の僧、願阿弥は飢饉に苦しむ人々を救うための行動を起こしました。彼は勧進を行い、京都の六角堂近くに舎屋を設けて、粟粥を配る活動を始めたと言われています。彼は連日にわたり8000人規模での慈善活動を行いましたが、悲しいことに餓死者は減少しませんでした。活動はわずか一か月で撤収され、その後、河原には数千体の遺体が埋められ、川の土手に塚を築いて追悼が行われました。

将軍義政も後に五条橋で施餓鬼を命じ、餓死者の慰霊を行いました。さらに、相国寺や東福寺など、五山の寺院でも施餓鬼が続けられていきました。また、本願寺では蓮如が救済活動を進め、延暦寺からの独立を試みたため、後に「寛正の法難」と呼ばれる事件が起こる要因ともなりました。

このように、長禄・寛正の飢饉は日本の歴史において極めて重大な事件であり、後の応仁の乱の引き金ともなりました。多くの人命が失われたこの時期の出来事は、今もなお記憶されています。

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