鯖折り

鯖折りとは

鯖折り（さばおり）は、相撲における決まり手の一つです。この技の名称は、技をかけられた力士が、まるで首を折られた鯖のような体勢になることに由来するとされています。かつて、冷蔵技術が未発達だった時代には、鯖は鮮度を保つために、釣り上げられた直後に首を折って血抜きをする「活け締め」という処理が行われていました。この様子が、技をかけられた力士の姿と重なったため、この名がついたと考えられます。

技の概要

鯖折りは、相手の廻しを掴んで強く引き寄せ、上から圧迫するようにして相手の膝を土俵につける技です。この技を受けると、腰や膝に大きな負担がかかるため、特に成長段階にある小・中学生などのアマチュア[[相撲]]では、安全上の理由から禁止されることがあります。実際、中学生時代の黒澤俊英（後の巴富士）が、花田勝（後の若乃花勝）との対戦でこの技を使い、反則負けとなったというエピソードも残っています。

過去には、巨漢力士として知られた元関脇の出羽ヶ嶽文治郎や、元小結の大起男右エ門などがこの技を得意としていました。特に、出羽ヶ嶽は1926年の五月場所で、大関太刀光をこの技で破り、太刀光は怪我が原因で引退を余儀なくされました。また、1986年の五月場所では、当時関脇だった小錦が、北尾との取り組みの際にこの技で敗れました。この時、両者の体重が合計400キログラムを超えていたため、小錦の右膝に大きな負担がかかり、骨折してしまいました。この怪我が原因で、小錦はその後も土俵人生に大きな影響を受けることになりました。北尾もまた、2メートル級の巨漢力士でした。

一般的には、高身長の力士が得意とする技として知られていますが、若秩父、若浪、若二瀬といった小柄な力士が、その怪力を活かしてこの技を決めることもありました。

平成以降の幕内では、旭天鵬が1999年五月場所と2001年五月場所で、この技で2度白星を挙げています。また、後に幕内力士となる荒鷲も、三段目時代の2004年三月場所で、この技で勝利を収めています。

関連項目

ベアハッグ: レスリングのグレコローマンスタイルや総合格闘技で用いられる、鯖折りに似た技です。ただし、ベアハッグは相手を上から圧迫する行為がなくても成立するという点で、鯖折りとは異なります。
首折れ鯖: 鹿児島県屋久島で水揚げされるゴマサバの現地名です。

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