大起男右エ門

大起 男右エ門について

大起 男右エ門（おおだち だんえもん）は、1923年10月6日に福岡県嘉穂郡穂波町（現：飯塚市）で誕生し、1970年1月31日に心臓衰弱で亡くなった日本の大相撲力士です。本名は山本 男次郎（やまもと だんじろう）ですが、後に石田 男次郎（いしだ だんじろう）に改名しました。彼は出羽海部屋に所属し、最高位は1955年3月場所の東小結でした。彼の体格は194cm、180kgと非常に大きく、得意技には左四つ、寄り、鯖折りがあります。

来歴

大起は小学生時代に相撲大会での優勝をきっかけに、6代目出羽海から勧誘を受け、出羽海部屋に入門します。1938年5月場所に14歳で初土俵を踏み、その当初は本名を用いた「山本」という四股名でした。しかし、その後故郷にちなんで「穂波山」と改名し、1945年6月には十両に昇進、1946年11月には初めて幕内に上がりました。

1949年1月、幕内下位に停滞していた彼は新たに「大起」に名を変更します。この四股名には大成する願いが込められており、彼の活躍が期待されました。同年10月場所では横綱・前田山を破り、初めて金星を獲得。この活躍により、彼は幕内の上位に定着しました。1953年には新横綱・鏡里にも勝ち、再度金星を挙げます。

三役への昇進

その後、1954年9月場所では11勝4敗という好成績を挙げ、翌年の3月場所で小結に昇進しました。この昇進は、当時の師匠である6代目出羽海の期待に応えるものとなりました。ただし、次の場所では5勝10敗という成績に終わりますが、心を引き締め、8日目には大関・三根山を得意の鯖折りで破るなどの頑張りを見せました。意外なことに、彼は41場所にもわたり幕内に在位しながら三賞を受賞することがありませんでした。

数年間上位に居続けたものの、その後は成績が下降し、1958年5月場所を最後に現役を引退。引退後は年寄・境川を襲名し、相撲界の後進の指導に努めました。

人柄とエピソード

大起の巨体は当時の力士の中でも際立っており、特に温厚な性格から子どもたちに「ダンちゃん」という愛称で親しまれていました。彼は非常にお酒が好きで、巡業中に酔っ払って仕切りができない様子が伝えられています。ある時には行司に手を煩わせながら、なかなか立てずに倒れてしまったというエピソードもあり、同部屋の横綱からは厳しく叱責を受けたこともありました。

大起は相撲茶屋「伊勢福」の婿養子となり、石田姓に改名。その後、養子を迎えることになりますが、彼が亡くなった後もその名は相撲界に影響を与え続けました。彼の強さと柔和な人柄は、多くのファンに愛され、今も記憶に残る力士の一人です。

主な成績

彼の通算成績は328勝350敗、幕内成績は265勝306敗。三役在位はわずか1場所の小結であり、金星は前田山と鏡里から2つ獲得しました。大起は戦前の力士として、相撲界に多大な影響を与えた力士として記憶されています。

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