Θ

ギリシア文字のシータ（Θ, θ）は、古代ギリシア語では「テータ」（θῆτα）、現代ギリシア語では「スィタ」（θήτα）と発音されます。この文字は、ギリシア文字のアルファベット順で8番目に位置し、古代ギリシア語では帯気音の[tʰ]、現代ギリシア語では無声歯摩擦音の[θ]を表します。数価は9であり、ラテン文字に転写する際には「th」と表記されます。

シータの起源は、フェニキア文字の「テート」（𐤈）に遡ります。フェニキア文字には[t]のような音を表す文字が二種類存在し、ギリシアでは、このうちの一つを無気音の[t]（タウ（τ））に、もう一つを帯気音の[tʰ]（シータ（θ））に転用しました。この変遷が、シータが現在の形と音価を持つに至った経緯です。

記号としてのシータは、国際音声記号では無声歯摩擦音[θ]を、小文字の字形にはθとϑの二種類があります。また、大文字のΘは、数学分野でランダウの記号として使われたり、幾何学で角度を表す記号としてsin θのように用いられます。代[[数学]]では、古い文献で加法の単位元である0を表すために使用されることがあり（Θの字形が0に似ているため）、解析学においては楕円関数であるテータ関数の記号として使用されます。

さらに、素粒子物理学ではペンタクォークの一つ（uudd̄s）を表す記号として、経済学ではエージェントのタイプを示す記号として、小文字のθが各々のタイプを、大文字のΘがタイプの集合（タイプ空間）を表すために利用されています。また、現代自動車/起亜自動車のワールドエンジン「θエンジン」の名称にも用いられています。

かつてキリル文字として用いられていた「Ѳ」は、このシータを起源としています。このように、シータはギリシア文字としてだけでなく、様々な分野で記号として重要な役割を果たしている文字です。

参考文献としては、W. Sidney Allen (1987) [1968]. Vox Graeca (3rd ed.). Cambridge University Press. ISBN 0521335558 が挙げられます。

符号位置については、Unicodeで詳細を確認することができます。

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