あなた (小坂明子の曲)

小坂明子のデビューシングル『あなた』

小坂明子のシングル『あなた』は、1973年12月21日にワーナー・パイオニアから発売されました。この曲は小坂が16歳の時に参加した第6回ヤマハポピュラーソングコンテスト（通称ポプコン）で歌い、その才能を見せつけ、グランプリを獲得した作品として知られています。このシングルは、リリース後わずか1ヵ月でオリコンシングルチャートにおいて7週間もの間1位を記録しました。

曲の背景や制作過程

小坂本人は、この曲の歌詞を高校2年生の時に授業中に急いでノートの片隅に書き上げ、その後、自宅でメロディをつけたと語っています。当初は友人と3人で合唱する予定でポプコンに出場することになっていたものの、他のメンバーが参加できなくなり、急遽ソロで歌うことになったのです。この曲は、彼女自身の淡い恋愛経験を基に作られており、そのモデルとなったのは1つ上の先輩でした。先輩との関係は短命に終わったものの、彼女は歌詞を通してその切なさを表現したいと思いました。

歌詞の中で「真赤なバラ」と「白いパンジー」という花の描写は、小坂自身が好きな花と先輩の好みを関連付けたものであり、情緒豊かな内容を出しています。

当初、『あなた』は合歓の郷の新婚カップル向けに配布されるソノシート用の制作から始まった楽曲であり、ポプコン版本やレコード版本では異なる編曲が施されています。小坂自身は、レコード版のアレンジが自身のイメージとは異なると感じ、再編曲を依頼したことも注目に値します。

経済的成功

このデビューシングルはオリコン加盟の集計において、1978年10月時点で165万枚の売上を記録し、ワーナーによる発表では200万枚を超えたとされています。特に、この曲は女性作曲家による初のミリオンセラーシングルとしても位置づけられています。

公演と影響

1974年には『第25回NHK紅白歌合戦』にも出場し、彼女の父である小坂務と共演を果たしました。この曲は小坂明子をピアノ弾き語りで知らしめるきっかけとなった楽曲であり、後のアーティストたちへも大きな影響を与えました。

多くのアーティストがこの曲をカバーしており、中には岩崎宏美や南沙織、さらに海外のミュージシャンも含まれています。特に1974年には、アメリカのジャズフルート奏者ハービー・マンが小坂を招き、彼女の楽曲を録音した経緯も印象的です。

小坂明子のその後

『あなた』を皮切りに、小坂明子のキャリアは多くの注目を集めましたが、以降のヒットには恵まれず、子育てを経て声も変わり、作曲家として活動するようになりました。この曲は彼女にとっての代表作であり、彼女の音楽スタイルを確立する大きな一歩となったと評価されています。

収録内容と現存映像

『あなた』のシングルには、同じく小坂自ら作詞した「青春の愛」が収録されており、全作曲は小坂明子によるものです。現存する映像としては、1973年の世界歌謡祭や1974年の紅白歌合戦でのパフォーマンスが知られています。

この名曲は多くの人の心に残っていますし、様々なアーティストにインスピレーションを与え続けているのです。

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