あの丘越えて

映画『あの丘越えて』詳細解説

『あの丘越えて』は、1951年11月1日に公開された松竹映画です。監督は瑞穂春海、主演は美空ひばりが務めました。モノクロ、スタンダードサイズの83分作品で、映倫番号は546です。菊田一夫の原作を基に、自然の中で育った少女が都会での生活を通して成長する姿を描いています。

あらすじ

物語の主人公は、13歳の少女・万里子。幼い頃に母親を亡くし、あやばあちゃんに育てられました。ある日、都会で事業を成功させた父親・研一郎が、万里子を引き取ることを決めます。家庭教師として迎えに来た大学生の能代大助に連れられ、万里子は初めて都会へ。そこでは、新しい母親となる朝子や、朝子の父親で気難しい伍平との生活が始まります。

万里子は、都会の生活や学校に戸惑いながらも、大助の助けを借りて少しずつ慣れていきます。花売りの由技枝やその妹・春江とも友達になり、賑やかな日々を送ります。しかし、父親の会社が経営難に陥り、万里子は家計を助けるために花売りを始めることに。その際に、春江のアドバイスで歌を歌いながら花を売ると、たちまち人気を集め、演歌師の田川や三公とも親しくなります。

一方、万里子は次第に大助に恋心を抱き、ホームシックにも悩まされるようになります。そんな中、誕生日会で実母の歌を歌ったことから、自分が朝子の実子ではないことが発覚。さらに、研一郎の事業を援助していた伍平も怒らせてしまい、家庭は重苦しい雰囲気に包まれてしまいます。

傷心の万里子は、大助の元を訪れますが、そこで由技枝と大助の姿を目撃し、ショックを受けます。そして、あやばあちゃんの元へ帰る決意をします。しかし、故郷で待っていたのは、あやばあちゃんの訃報でした。悲しみに暮れる万里子は湖で溺れてしまいますが、再び迎えに来た大助に救われます。そして、両親や伍平との関係も修復し、皆に愛される存在として成長を遂げます。

スタッフ

製作：山口松三郎
監督：瑞穂春海
企画：福島通人
原作：菊田一夫
脚本：瑞穂春海
撮影：厚田雄春
照明：高下逸男
録音：新楠元
美術：熊谷正男
音楽：万城目正
編集：浜村義康
装置：佐須角三
装飾：守谷節太郎
衣裳：田口ヨシ江
録音技術：宇佐美駿
監督助手：弓削進
撮影助手：井上晴二
録音助手：伊藤数夫
照明助手：八鍬武
進行：山吉鴻作
現像：林龍次

キャスト

白浜万里子：美空ひばり
能代大助：鶴田浩二
伍平：河村黎吉
由技枝：井川邦子
白浜研一郎：新田実
白浜朝子：森川まさみ
あや：飯田蝶子
田川：堺駿二
三公：高屋朗
山崎：北竜二
大野：奈良真養
春江：中川弘子
山川女史：水上令子
ヤクザ：南進一郎
白浜家の女中：戸川美子
工員：大杉陽一・後藤泰子
高木信夫
紅沢葉子
河村百合子
中川健三
長尾寛
寺岡潔
戸張映子
吾妻正
手代木国男
井上正彦

挿入歌

「あの丘越えて」作詞：菊田一夫 作曲：万城目正 唄：美空ひばり
「街に灯のともる頃」作詞：菊田一夫 作曲：万城目正 唄：美空ひばり
「思い出せない事ばかり」作詞：藤浦洸 作曲：万城目正 唄：鶴田浩二
「夢の花かげ」作詞：藤浦洸 作曲：万城目正 唄：鶴田浩二・美空ひばり

作品の魅力

『あの丘越えて』は、美空ひばりの歌唱力と演技力が光る作品であり、彼女の魅力を最大限に引き出しています。また、都会と自然という対照的な環境の中で、少女が成長していく姿を丁寧に描き、観る人に感動を与えます。家族の絆や恋心をテーマにした心温まる物語であり、昭和初期の日本を舞台にしたノスタルジックな雰囲気も魅力です。

外部リンク

あの丘越えて - 映画.com
* あの丘越えて - 日本映画データベース

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