かしま (練習艦)

練習艦「かしま」の概要と歴史

概要

「かしま」（ローマ字：JS Kashima, TV-3508）は、海上自衛隊の練習艦であり、艦名は鹿島神宮に由来します。これは、旧海軍の戦艦「鹿島」と練習巡洋艦「鹿島」に続く、第3世代の艦艇です。特色として同型艦は存在せず、独自の設計を持つ艦艇として位置付けられています。

「かしま」は、老朽化した練習艦「かとり」を代替するために建造されました。その船体は「長船首楼型」と呼ばれ、幅広な船体デザインが特徴です。艦橋は低く設計されており、艦の外観は乾舷の高さが際立っています。艦橋、CIC（戦闘情報センター）、機関制御室などは、実習員が乗艦することを考慮して広々とした設計となっています。

この艦の教育訓練設備として、170名の候補生を収容可能な実習員講堂が用意されています。講堂の後部にはヘリコプター甲板としても利用できる訓練甲板が併設されており、イベント用の引き込み格納式の天幕も完備しています。また、艦の後部に配置された訓練甲板は中部甲板よりも低いため、両者は「オランダ坂」と名付けられた傾斜で接続されています。

兵装と機関

「かしま」の兵装は、前甲板に62口径76ミリ速射砲1基と両舷に68式3連装短魚雷発射管を2基配備しており、実戦艦に比べると限定的です。ミサイルやアスロックの訓練はCIC内のシミュレーターで行われ、実際の発射機を使った訓練には護衛艦への移乗が必要です。

機関は、近年の艦艇設計の潮流を反映し、「かとり」の蒸気タービンからガスタービンとディーゼルの複合機関へと変更され、実習効率が重視されています。さらに、「かしま」は艦隊の旗艦として、遠洋航海に出航する際の礼砲を艦橋前部に2門装備しています。

艦の歴史

「かしま」は、平成3年度から平成4年度にかけての中期防衛力整備計画に基づいて建造され、1993年に起工。その後、1994年に進水し、1995年に就役を果たしました。練習艦隊の直轄艦（旗艦）として呉に配備されると、同年から遠洋練習航海に参加し始めました。特に、1995年の西回り世界一周の航海では、東京港から出港し、様々な国を訪問しながら28,000海里を航行しました。

その後も「かしま」は、毎年定期的に遠洋練習航海を行い続け、約150日間の活動を続けています。2000年からは世界一周の航海を行い、特にアメリカ独立記念日には海自艦艇として珍しい洋上での式典にも参加しました。さらに、近年の航海では北極圏への進出や他国海軍との合同演習も実施し、その活動の幅を広げています。

現状と未来

2023年度にも「かしま」は、近海練習航海に出航し、今後も多くの実習生や幹部を育成し続ける予定です。これにより、自衛隊の重要な役割を果たす艦艇として、海外での交流や訓練を行う拠点となっています。「かしま」の活動は、単に艦艇としての機能だけでなく、国際的な関与にも寄与する存在として認識されています。

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