さいたま車両センター

さいたま車両センター

さいたま車両センターは、東日本旅客鉄道（JR東日本）首都圏本部が管轄する主要な車両基地の一つです。埼玉県川口市芝塚原およびさいたま市南区南浦和にまたがる、南浦和駅の南側に広がる敷地に所在しています。

この車両基地は、2015年3月14日の組織再編により、従来の「浦和電車区」から名称が変更されました。これにより、車両の検査や修繕といったメンテナンス部門は「さいたま車両センター」となり、列車の運転を担当する運転部門は「さいたま運転区」として分離されました。

配置車両に記される略号

さいたま車両センターに所属する車両には、「都サイ」という略号が記されています。これは、現在の管轄である首都圏本部を示す「都」と、「さいたま」を意味する「サイ」を組み合わせたものです。

浦和電車区として運用されていた時代は、所属表記が幾度か変更されました。特に大宮支社の管轄下にあった時期には、「宮ウラ」という略号が使用されていました。これは、大宮支社の「宮」と、浦和の電報略号である「ウラ」に由来します。

歴史

当車両基地の歴史は、まだ「浦和電車区」と呼ばれていた時代に遡ります。

1957年12月: 電留線の建設が開始されました。
1960年: 電車区本体の着工が始まります。
1961年10月25日: 下十条電車区の派出所として、構内の施設が使用を開始しました。この車両基地の建設に合わせて、当時の浦和市（現：さいたま市南区）からの請願により、最寄りの駅として南浦和駅が新設されました。
1962年4月16日: 浦和電車区が正式に開設されました。開設当初の所属車両は105両、職員数は186名でした。当時の管轄は東京鉄道管理局で、略号は「東ウラ」でした。
1965年: 同年に行われた国労のストライキでは、拠点の一つとなりました。
1969年: 東京北鉄道管理局の発足により、同管理局の管轄となり、略号も「北ウラ」に変更されました。
1986年3月: 京浜東北線・根岸線用の103系車両が、下十条電車区や蒲田電車区から浦和電車区に集約配置されました。
1987年4月1日: 国鉄分割民営化に伴い、JR東日本に移管されました。当初は東京圏運行本部（後に東京地域本社）の直轄となり、略号は再び「東ウラ」に戻されました。
1998年10月1日: 東京支社の発足により、同支社の管轄となりました。
2001年4月1日: 大宮支社が発足し、管轄が大宮支社に移管されました。略号も「宮ウラ」に変更されました。
2002年1月25日 および 2007年3月9日: ISO9001認証を取得しています。
2015年3月14日: 組織再編が行われ、運転部門がさいたま運転区として分離。車両メンテナンス部門は「さいたま車両センター」に改組され、略号も「宮サイ」に変更されました。
2022年10月1日: 東京支社が首都圏本部へと改称され、当センターは首都圏本部の現業機関となりました。これに伴い、略号が現在の「都サイ」に変更されました。

構内

さいたま車両センターの敷地は、東西方向に約65メートル、南北方向に約1,600メートルと非常に細長い形状をしています。その範囲は蕨駅の北方から南浦和駅の手前約650メートル地点まで広がっており、ほぼ一駅間の距離に匹敵します。広さは東京ドーム約2個分に相当する9万平方メートルにも及ぶ広大な敷地です。

最大で280両の車両を同時に留置することが可能です。構内には、車両が出入りするための入出区線が3線、洗浄作業を行うための洗浄線が3線、車両を留め置くための電留線が15線設置されています（電留線の一部は10両編成を縦列で2本留置できます）。また、日常的な点検を行う交番検査線が3線、車輪の形状を整える車輪転削線が1線、臨時の修繕に対応するための臨時修繕線が2線備えられています。

配置車両

現在、さいたま車両センターに配置されているのは全て電車です。2023年4月1日時点では、以下の車両が所属しています。

E233系1000番台: 10両編成82本、合計820両が配置されています。これらの車両は京浜東北線および根岸線で日常的に運行されています。2007年9月より導入が開始され、同年12月から営業運転に投入され、従来の209系電車を置き換えました。過去には川崎駅付近での脱線事故により、損傷した編成の一部が廃車・解体されています。

過去の配置車両

103系: 1998年までに配置が終了しました。多くの車両が廃車・解体されましたが、一部は中央・総武緩行線や京葉線など、JR東日本の他の線区へ転用されました。国鉄時代には、他区との間で車両のトレードが行われたエピソードもあります。
205系: 1989年から1996年にかけて最大60両が在籍していました。その後、埼京線や中央・総武緩行線、横浜線など、他線区へ転出しました。
209系・901系:
0番台: 1993年から2010年まで運用されました。運用離脱後、房総地区向けの車両に改造され転用されました。
500番台: 京浜東北線へのD-ATC設置工事に伴う予備車確保や輸送力増強のために、一時的および正式に他区から転入しました。しかしE233系導入に伴い、後に京葉車両センターや三鷹車両センターへ転出しました。
900番台・910番台・920番台 (901系): これらは次世代通勤電車の試作車として運用されました。運用離脱後は、長野総合車両センターなどで解体されましたが、900番台のうち1両（クハ209-901）は保存され、東京総合車両センターに展示されています。

事業用車両

かつてはクモヤ143形が1両配置されていましたが、東京総合車両センターへ転出したため、現在、事業用車両の配置はありません。

大宮駅派出

大宮駅構内には、大宮駅派出が設置されています。ここは主に、異常発生時の初期対応などを担当しています。

その他エピソード

過去、京浜東北線用の車両配置は浦和電車区のほか、下十条電車区、蒲田電車区の3か所に分散していましたが、1986年3月のダイヤ改正で浦和電車区に集約されました。現在も下十条や蒲田には車両の留置スペースがあります。
さいたま車両センターへの改称は、2015年の運転部門分離と同時期に行われました。これは、かつて乗務員も所属していたために「電車区」や「運転所」といった名称が使われていましたが、運転部門が分離されたことで「車両センター」に名称変更された経緯があります。
構内から線路へ出入りする際には、京浜東北線の南行線路を横断する必要があるため、敷地内の私道上に踏切が設置されています。安全のため、関係者以外の通行は禁止されています。
さいたま運転区: さいたま車両センターと分離して発足した運転士組織でしたが、2024年12月1日に浦和東営業統括センターなどと統合され、浦和統括センターとなりました。これに伴い、さいたま運転区は廃止されています（現在は浦和統括センター乗務ユニット南オフィス）。

この車両基地は、首都圏の鉄道輸送を支える上で重要な役割を担っています。

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