私道

私道とは

私道（しどう）とは、個人または団体が所有する土地を道路として使用している区域のことです。市町村が管理する公道とは異なり、土地所有者の許可なしに通行することはできません。しかし、私道の中には、土地所有者が通行を許可している場合もあり、その場合は誰でも利用することができます。

私道の概要

私道は、公道に対する概念であり、その性格は大きく異なります。公道は誰でも自由に通行できますが、私道は原則として土地所有者の許可が必要です。ただし、土地所有者が通行を許可している場合は、誰でも利用することができます。

欧米における私道

産業革命期には、大地主が自分の土地に私道や運河を整備し、通行料を徴収することがありました。これらの私道や運河はやがて公認され、無料化が進み、交通網の発達に貢献しました。

また、欧米では、宅地の所有者が組合を設立したり、共同で所有したりして、宅地内の道路を維持管理する制度が設けられている地域もあります。特にイギリスでは、このような形で共同所有・管理されている道路が約4万本もあると言われています。

さらに、ヨーロッパや北米では、私企業による高速道路網も整備されています。これらの高速道路は、通行料で建設費を回収し、償還後は政府に移管され、無料の高速道路として維持される仕組みとなっています。

私有車道は、建物の車寄せに通じる私設の道路で、一般的に「ドライブウェイ」と呼ばれます。これは、車庫や建物から公道までの間に設けられることが多いです。

日本における私道

日本では、国や地方公共団体が管理する道路を公道と呼び、それ以外の道路が私道となります。

私道の設置目的

私道が設置される目的は、主に以下の3つです。

1. 有料[[道路]]としての整備: 民間資本が資金を投入し、通行料収入を得るための有料[[道路]]として整備されるケース。
2. 民地内通路: 民地内で通行エリアを指定するために整備されるケース。
3. 建築基準法上の道路: 建築基準法の認定を受けるために、公衆用道路とみなして整備するケース。

有料[[道路]]の例としては、箱根ターンパイク、比叡山ドライブウェイ、信貴生駒スカイラインなどが挙げられます。これらの道路は民間企業が建設・運営し、通行料を徴収しています。

鋸山登山自動[[車道]]は、個人の私有地内に建設された道路です。

道路交通法の適用

原則として、私道には道路交通法は適用されません。工場内の運搬路やサーキットなどの私道は、一般の人が自由に通行できる場所ではないため、道路交通法の対象外となります。

ただし、道路交通法第2条では、道路を「道路法、道路運送法に規定する道路その他の場所で、一般交通の用に供するその他の場所」と定義しているため、私道であっても、一般交通の用に供される状態であれば、道路交通法の適用を受ける可能性があります。

例えば、箱根ターンパイクは私道ですが、多くの車両が通行するため、「みなし公道」として扱われ、道路交通法が適用されています。

また、旧国鉄の線路跡を転用したバス専用[[道路]]は、道路運送法の適用対象となり、運転免許が必要となるなど、道路交通法が適用されます。

工場や鉱山内の道路、公園やテーマパーク内の園路などは、一般車両の通行が制限されているため、道路交通法の適用を受けません。

宇部伊佐専用道路や東洋大橋のような特殊な例もあります。これらの道路は、同じ会社の2つの工場を結ぶ専用道路ですが、道路運送法の適用を受けないため、規格外の大型トレーラーによる資材運搬が可能です。

建築基準法における私道の位置づけ

建築基準法第43条では、都市計画区域内で建築物を建てる場合、「建築物の敷地は、道路に2メートル以上接しなければならない」と定めています。これを満たすために、私道が指定される場合があります。この場合の私道は、周辺住民が利用することが前提であり、公道と同様に誰でも通行できることがほとんどです。

また、有料[[道路]]や高架道路など、歩行者や軽車両の通行が危険と思われる道路でも、沿道に建物がある場合は、その道路を通行せざるを得ない場合があるため、通行を禁止することはできません。

位置指定道路

建築基準法上の道路は、原則として幅4メートル以上の道路を指します。具体的には、

1. 道路法による道路
2. 都市計画法などに基づく道路
3. 既存の道路
4. 事業計画のある道路
5. 特定行政庁が指定した私道（位置指定道路）

などが該当します。このうち、5号の位置指定道路は、民間の開発業者などが特定行政庁から指定を受けた私道であり、建築基準法の要件を満たすための重要な役割を果たしています。

位置指定道路は、原則として変更や廃止はできません。

2項[[道路]]

建築基準法第42条第2項では、幅4メートル未満の道路であっても、特定行政庁が指定したものは、建築基準法上の道路とみなすと規定しています。この道路を「2項[[道路]]」と呼びます。2項[[道路]]沿いの土地に建築物を建てる際には、道路の中心線から2メートル後退して建てる必要があります。

共有私道の固定資産税

私道の所有者には固定資産税が課税されます。特に、新興住宅地などの共有私道では、共有者それぞれに納税通知書を送る方法や、代表者に通知書を送付して徴収する方法など、地方自治体によって徴収方法が異なります。

まとめ

私道は、その所有形態や利用状況によって、さまざまな側面を持っています。道路交通法や建築基準法の適用など、注意すべき点も多くあります。この記事を参考に、私道について理解を深めていただければ幸いです。

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