さらば愛しき人よ (映画)

『さらば愛しき人よ』：愛と裏切りの抗争劇

1987年公開の『さらば愛しき人よ』は、原田眞人監督によるアクション映画として知られています。暴力団抗争という危険な世界を舞台に、主人公の早坂修史（郷ひろみ）の葛藤と、彼を取り巻く複雑な人間関係、そして切ない愛の物語が描かれています。

早坂修史は大東連合の若手幹部。彼は敵対する闘竜会の会長・木内剛三（安岡力也）暗殺の機会を待ちます。そして、遂に機会は訪れ、修史は木内を射殺するチャンスを得ますが、彼は命乞いをする木内を殺さず、その場を立ち去ります。

修史の上司である新田実（高品格）は彼を高く評価していますが、和平工作を進める加東昭司（柄本明）は修史を快く思っていません。そんな中、新田の娘の結婚式で、修史は幼馴染で初恋の相手である海老沢ひとみ（石原真理子）と再会します。しかし、修史は過去の感情を隠して、ひとみを突き放します。

闘竜会の報復を避けるため、修史は愛人の石橋由美子（南條玲子）のマンションに身を潜めます。しかし、10年ぶりに再会したひとみへの想いを抑えきれず、修史はひそかにひとみに会いに行きます。二人は語り合い、親密な時間を過ごしますが、その影では木内の弟・義政（佐藤浩市）が雇った殺し屋・間柴秀一（嶋大輔）が彼らを付け狙っていました。

間柴の襲撃により、修史とひとみは重傷を負います。ひとみは脳内出血で視力を失い、由美子も間柴からの拷問を逃れるため自ら命を絶ちます。愛する者たちを失った修史は、怒りと悲しみに打ちひしがれます。

抑えきれなくなった怒りが爆発した修史は、弟分の福島哲夫（木村一八）と共に、大東連合と闘竜会の合同発会式場に単身乗り込みます。このクライマックスシーンは、修史の壮絶な戦いと、彼の揺れる心を鮮やかに描き出しています。

この映画は、暴力団抗争というハードな世界観の中に、純粋な愛と裏切りのドラマを見事に織り交ぜています。郷ひろみと石原真理子の熱演、そして豪華な脇役陣の演技も見どころの一つです。原田眞人監督の緻密な演出と、中西俊博による音楽も、映画の世界観を盛り上げています。

『さらば愛しき人よ』は、アクション映画としての見応えはもちろん、人間の感情の機微を丁寧に描いた人間ドラマとしても高い評価を得ています。一度見たら忘れられない、衝撃的なラストシーンは必見です。キャスト、スタッフのクレジットは下記の通りです。

キャスト
早坂修史：郷ひろみ
海老沢ひとみ：石原真理子
福島哲夫：木村一八
木内義政：佐藤浩市
石橋由美子：南條玲子
間柴秀一：嶋大輔
新田実：高品格
加東昭司：柄本明
木内剛三：安岡力也
その他：笹野高史、大地康雄、余貴美子、内藤陳、景山民夫、松金よね子、大竹まこと、原田芳雄、内田裕也、寺島進、不破万作、佐野史郎、手塚真

スタッフ
監督・脚本：原田眞人
製作：奥山和由、周防郁雄
プロデューサー：茂庭喜徳
原作：西岡琢也
撮影：藤澤順一
音楽：中西俊博
美術：丸山裕司
編集：大島ともよ
録音：井家眞紀夫
スチール：副田宏明
助監督：門奈克雄
照明：高屋齋

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