つくし野駅
つくし野駅は、
東京都町田市つくし野四丁目に位置する
東急電鉄田園都市線の駅です。駅番号はDT23が付与されています。東急によって計画的に開発された
住宅地の中心に位置し、その歴史と独自の街並みが特徴です。
駅の歩み
この駅は、
1968年4月1日に
東急田園都市線が
長津田駅から延伸した際に、その
終着駅として開業しました。当初は
単線で、ホームも1面1線のみというシンプルな構造でした。その後、田園都市線は順次延伸され、
1972年4月1日にはすずかけ台駅までが開通し、つくし野駅は途中駅となります。この延伸に合わせ、
列車の行き違いを可能にするため、ホームは現在の相対式2面2線に拡充されました。さらに、
1976年10月15日には、すずかけ台駅からつきみ野駅の手前までの区間が
複線化され、輸送力が強化されています。近年では、駅施設の改良も進み、
2001年7月23日にはホームに、
2018年4月28日には東口にそれぞれ
エレベーターが設置され、バリアフリーに対応しました。また、安全性の向上策として、
2019年9月29日から可動式
ホームドアの使用が開始されています。駅の停車種別においても変化があり、
2019年10月1日の
ダイヤ改正以降、準急
列車の停車駅となりました。
「つくし野」の名の由来
駅周辺の地名である「つくし野」は、
東急不動産がこの一帯を
住宅地として開発するにあたり、全国に向けて町名の公募を行った結果選ばれたものです。当時、日本全国から寄せられた応募総数は96,865通に及び、その中からこの名称が選ばれました。この町名の選定には、芸術家である
岡本太郎氏をはじめ、社会学者の
磯村英一氏、作家の
井上靖氏、エッセイストの
石井好子氏、建築家の
菊竹清訓氏、漫画家の
手塚治虫氏といった、各界の著名人6名が審査員として名を連ねていたという大変ユニークなエピソードがあります。
1967年3月に「つくし野」という名称が正式に決定されるまで、計画段階では「小川駅」という仮称が使われていました。
駅構造と利用状況
つくし野駅は、地上に相対式ホームを2面2線配置した構造です。ホームは線路を挟んで向かい合う形となっており、それぞれのホームから渋谷方面行きと中央林間方面行きの
列車に乗車できます。近年の利用状況を見ると、
2024年度の1日平均
乗降人員は10,686人となっており、周辺住民の通勤・通学の足として利用されています。
周辺環境
駅周辺は、東急がかつてから計画的に開発してきた
住宅地として知られています。駅前には「つくし野
東急ストア」やドラッグストアの「ウエルシア」があり、日常の買い物に便利です。また、
東急田園都市線の車両基地である長津田検車区が比較的近くに位置しています。
この地域の最も特徴的な点の一つは、つくし野一丁目から四丁目の各区域に存在する「住民協約」です。この協約によって、土地の利用方法や建築物の規模、形態などに一定のルールが設けられており、例えば大規模な
マンション建設が制限されています。これにより、一戸建て住宅が中心の、緑が多くゆとりのある落ち着いた街並みが維持されています。また、土地の細分化や家屋の建築についても制限があるため、電柱の地中化なども進められており、計画的な
住宅地としての良好な景観と住環境が保たれているのです。住民協約の影響もあり、駅前周辺は
1980年代のバブル期直前からほとんど景観が変わっていないと言われることもあります。地域内には工場やコンビニエンスストアは少なく、商業施設は駅前の
東急ストアと、その先に続く「つくし野パークロード」沿いの商店群が中心となっています。つくし野パークロードを抜けた先には、春には美しい桜並木が楽しめる住宅街が広がっています。
公共施設としては、
町田市つくし野コミュニティセンターや
町田警察署つくし野駅前交番があります。教育施設も充実しており、
町田市立つくし野小学校、幼稚園から高等部まで一貫教育を行う森村学園、つくし野天使幼稚園などが立地しています。また、町田つくし野
郵便局も利用できます。レジャー施設では、首都圏近郊では数少ない本格的なフィールドアスレチックを楽しめる「フィールドアスレチック横浜つくし野コース」、通称「つくし野アスレチック」が近くにあります。学習塾の
早稲田アカデミーつくし野校なども駅周辺にあります。
つくし野駅やその周辺は、過去に
テレビドラマやCMのロケ地として度々使用されたことでも知られています。例えば、
1985年に放映された
テレビドラマ『
金曜日の妻たちへIII 恋におちて』や、
1990年代のドラマ『
ダブル・キッチン』のロケ地として使われました。また、
第一三共ヘルスケアのテレビCM「
リゲイン」シリーズに登場する架空の駅「松野台駅」のロケが、このつくし野駅で行われたことがあります。
バス路線は、駅前に「つくし野駅」停留所があり、
神奈川中央交通が運行する
路線バスが利用できます。
隣接駅
東急田園都市線における停車種別は、急行は当駅を通過しますが、準急と各駅停車は停車します。
長津田駅(駅番号DT22)とすずかけ台駅(駅番号DT24)の間に位置しています。
つくし野駅は、著名人が関わったユニークな地名由来を持ち、住民協約によって守られた良好な住環境を支える、
東急田園都市線沿線の計画
住宅地を代表する駅の一つと言えるでしょう。