つる座

つる座 (Grus)

つる座は、現代の88星座の1つで、鶴をテーマにしています。この星座は16世紀末に考案されたもので、特にみなみのうお座の南側に位置しています。そのため、日本からは南の空の低いところで観察されることが多いです。

主な天体

つる座の中には、明るい星がいくつか存在します。α星とβ星はそれぞれ2等星であり、特に注目されています。

• - α星 (アルナイル): 明るさは1.71等のB型主系列星で、つる座の中で最も輝いています。
• - β星 (ティアキ): こちらは見かけの明るさが2.11等で、赤色巨星の不規則変光星に分類されます。2017年には、トゥアモトゥ語由来の固有名が認証されました。
• - γ星 (アルダナブ): 明るさは3.01等で、3等星として知られています。
• - HD 208487: 146光年の距離にある主系列星で、太陽系外惑星が2つ確認されています。

また、つる座にはIC 5148という惑星状星雲も含まれています。これは約3,800光年離れた場所にあり、19世紀に発見された際は「スペアタイヤ星雲」という通称でも知られています。

由来と歴史

つる座は1598年にフランドル出身のオランダの天文学者ペトルス・プランシウスによって描かれました。この星座は、オランダの航海士ペーテル・ケイセルとフレデリック・デ・ハウトマンが収集した観測記録を基にしたもので、初めて天球儀に描かれたものです。1610年代には、ドイツの法律家ヨハン・バイエルの星図『ウラノメトリア』に紹介され、広く知られるようになりました。

その後、デ・ハウトマンや他の天文学者が異なる鳥の名称を提案しましたが、最終的に「Grus」という名前が定着しました。また、つる座のギリシア文字の符号は、ニコラ＝ルイ・ド・ラカイユによって付けられたものであり、19世紀に引き継がれました。

1922年のIAU設立総会で、つる座は88星座の1つとして正式に選定されました。この新しい星座にまつわる神話や伝承は存在しません。しかし、つる座の明るい星は、かつてみなみのうお座の領域にあったことを示唆する固有名がつけられています。

中国における扱い

つる座の領域は中国の歴代王朝からはほとんど目に見えることがなく、三垣や二十八宿には含まれませんでした。初めて記録されたのは明代の天文書『崇禎暦書』で、この文献においては南天の新たな星官が描かれました。

日本における呼称

日本では、明治時代末期から「鶴」という訳名がつけられ、以降もこの名称は変更されずに利用されています。現代日本語では「つる」として定着しましたが、現在の中国では「天鶴座」と呼ばれています。

このように、つる座は歴史的背景や観測の状況によって成り立っており、今でも天文学上の重要な存在として認識されています。

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