にっぽんご

『にっぽんご』は、教育科学研究会国語部会と、言語学研究会が中心となって作成された、日本語教育のための教科書です。この教科書は、学校文法をベースとせず、言語学や現代日本語文法研究に基づいた内容を盛り込んでいる点が大きな特徴です。

1964年の刊行開始以来、その内容は継続的に見直され、改訂が重ねられてきました。特に日本語教育の分野では、国語教育とは異なるアプローチが採用されており、その点が評価されています。そのため、国内だけでなく、海外の小学校、中学校、高校、大学、日本語学校など、幅広い教育機関で副読本や教材として利用されています。

また、中国、韓国、ロシアといった国々では、日本語研究を行う上で欠かせない重要な参考文献としても位置づけられています。

現在刊行されているテキストは以下の通りです。

『にっぽんご 1・もじのほん』(明星学園・国語部著、むぎ書房)
『にっぽんご 2・もじ, はつおん,ぶんぽう』(明星学園・国語部著、むぎ書房)
『にっぽんご 3の上・文法』(明星学園・国語部著、むぎ書房)
『にっぽんご 4の上・文法』(明星学園・国語部著、むぎ書房)
『にっぽんご 5・発音とローマ字』(教育科学研究会・秋田国語部会著、むぎ書房)
『にっぽんご 6・語い』(教科研・群馬国語部会・語い研究サークル著、むぎ書房)
『にっぽんご 7・漢字』(明星学園・国語部著、むぎ書房)
『一年生のにっぽんご・上』(教育科学研究会・国語部会著、むぎ書房)
『一年生のにっぽんご・下』(教育科学研究会・国語部会著、むぎ書房)
『二年生のにっぽんご』(教育科学研究会・国語部会著、むぎ書房)
『あたらしいにっぽんご』(教育科学研究会・国語部会著、むぎ書房)

これらのテキストは、文字、発音、文法、語彙、漢字など、日本語を総合的に学ぶことができるように構成されています。また、各学年やレベルに合わせて細かく分けられているため、学習者の段階に応じた適切な学習が可能です。

関連書籍として、以下のものがあります。

鈴木重幸1972『日本語文法・形態論』(むぎ書房) - 『にっぽんご 4の上・文法』の解説書
須田清『かな文字の教え方』(むぎ書房) - 『にっぽんご1・もじのほん』の指導書
『教育国語』(教育科学研究会・国語部会の機関誌、むぎ書房) - 年2回刊行

これらの関連書籍は、『にっぽんご』の理解を深める上で役立つだけでなく、日本語教育に関する知識を広げるための資料としても貴重です。

『にっぽんご』の主な執筆者には、篠崎五六、無着成恭、奥田靖雄、宮島達夫、鈴木重幸、鈴木康之、高木一彦、須田清といった、日本語教育や言語学の分野で著名な研究者が名を連ねています。また、装丁は安野光雅が担当しています。

外部サイトとして、教科研・岡山国語部会津山サークルによる「日本語教育 入門期のかな文字指導」の資料が公開されています。

『にっぽんご』は、単なる教科書としてだけでなく、日本語という言語そのものを深く理解するためのテキストとして、多くの教育関係者や研究者に支持されています。その内容は、日本語を母語としない学習者だけでなく、日本語を母語とする学習者にとっても、日本語の構造や仕組みを理解する上で非常に有益です。

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