みちのく大賞典

一條記念みちのく大賞典：岩手競馬を代表する伝統の重賞競走

1973年に創設された一條記念みちのく大賞典は、岩手県競馬組合が施行する地方競馬の重賞競走です。東北地方の馬産発展に大きく貢献し、旧盛岡競馬場の設計にも携わった一條友吉氏を記念して名付けられました。

歴史と変遷：ローカル重賞から全国区へ

当初は岩手所属馬限定のレースとして、盛岡競馬場で開催されました。ファン投票による選出がなされていた時期もありましたが、現在は桐花賞にその方式が受け継がれています。創設当初は重賞レースと特別レースの定義が曖昧だったため、みちのく大賞典が岩手競馬における最初の重賞レースなのか、それとも最初の名称付き重賞レースなのかは、歴史資料の不足から現在でも明確になっていません。

1996年には盛岡競馬場の移転に伴い、水沢競馬場での開催に切り替わりました。その後、2001年には東日本地区、翌年には九州地区の所属馬も出走可能となり、2005年にはJRA所属馬を除く全国の地方所属馬に開放されるなど、徐々にその規模を拡大してきました。2011年と2016年には東日本大震災の影響、および競馬場改修工事の影響で盛岡競馬場での代替開催が行われました。2016年には岩手競馬の重賞格付け制度が導入され、本競走はM1に格付けされました。

2001年には、レース名称が「一條記念みちのく大賞典」に変更されました。これは、日本の馬産界に貢献した一條友吉氏と牧夫氏の功績を称えるためです。しかし、現在でも多くの人々から親しみを込めて「みちのく大賞典」と呼ばれています。

2004年には、盛岡競馬場で行われる統一重賞競走であるマーキュリーカップへのトライアルレースに指定され、上位馬には優先出走権が与えられるようになりました。これにより、みちのく大賞典は岩手競馬のローカル重賞としての地位を確立するとともに、全国的な注目を集めるレースへと成長を遂げました。

近年では、2018年には東北農政局賞が、2021年から2023年までは農林水産大臣賞が付与されるなど、レースの格付けが高まっていることも特徴です。

レースの特色と魅力

一條記念みちのく大賞典は、長きに渡り岩手競馬を代表する名馬が名を連ね、その優勝馬は岩手競馬所有の馬運車にその名前が転用されるという慣例まで存在するほど、特別な存在感を示しています。

また、2008年からはスタリオンシリーズ競走にも指定されており、優勝馬の馬主には種牡馬の配合権利が副賞として贈られます。これにより、より多くの関係者にとって魅力的なレースとなっています。

現在のレース概要

出走条件: サラブレッド系3歳以上、岩手所属馬が中心ですが、トライアルレースである「あすなろ賞」の上位3着馬には優先出走権が与えられています。
負担重量: 定量、3歳55kg、4歳以上57kg、牝馬2kg減
賞金: 1着1000万円、2着350万円、3着200万円、4着130万円、5着70万円。
副賞: 一條記念賞、社台スタリオンステーション賞、岩手県知事賞、奥州市長賞、開催執務委員長賞など豪華な副賞が用意されています。
* 優先出走権: 優勝馬にはマーキュリーカップへの優先出走権が与えられます。

まとめ

一條記念みちのく大賞典は、地方競馬における伝統と格式を兼ね備えた、非常に重要なレースです。岩手競馬の歴史と発展、そして日本の馬産界の発展に貢献してきたこのレースは、今後も多くの競馬ファンを魅了し続けるでしょう。 多くの名馬を生み出し、レースの歴史そのものが岩手競馬の歴史と深く関わっている、まさに「みちのく」を代表する重賞競走と言えるでしょう。

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