むずむず脚症候群

むずむず脚症候群（Restless Legs Syndrome：RLS）とは

むずむず脚症候群（RLS）は、主に下肢に生じる不快な感覚によって、脚を動かさずにはいられなくなる神経疾患です。夕方から夜間にかけて症状が悪化しやすく、睡眠障害を引き起こすこともあります。以前はエクボン症候群とも呼ばれていました。

症状の特徴

RLSの主な症状は、以下のような脚の異常な感覚です。

むずむずする
じっとしていられない
かゆい
ピンでなぞられているような
針で刺すような
火照るような
虫が這っているような
痛い

これらの症状は、安静時や横になっている時に現れやすく、脚を動かすことで一時的に軽減されます。夕方から夜にかけて症状が強まる傾向があり、入眠困難や夜間の中途覚醒を引き起こし、日常生活に支障をきたすことがあります。

重症化すると、慢性的な痛みやうつ病などの精神疾患を合併することもあります。

原因

RLSの正確な原因はまだ特定されていませんが、以下の要因が関与していると考えられています。

ドーパミンの機能低下
脳内の鉄分不足
脊髄や末梢神経の異常
遺伝的要素

特に、脳内のドーパミンや鉄分の代謝異常が有力な仮説として挙げられています。また、周期性四肢運動障害（PLMD）との関連も指摘されています。

発症しやすいケース

以下のような場合にRLSを発症しやすいとされています。

鉄欠乏性貧血
腎不全（透析患者）
パーキンソン病
妊娠
慢性呼吸不全
心不全
糖尿病
甲状腺機能低下症
特定の薬物の服用（抗うつ薬、抗精神病薬など）
遺伝的要因

精神的なストレスも症状を悪化させる要因となります。

診断基準

国際レストレスレッグス症候群研究グループ(IRLSSG)の診断基準では、以下の5つの必須条件を満たす必要があります。

1. 脚を動かしたいという強い欲求があり、通常は不快な感覚を伴う
2. 安静時に症状が悪化する
3. 運動によって症状が改善する
4. 夕方から夜間に症状が悪化する
5. 他の疾患や状態では説明できない

治療法

RLSの治療は、薬物療法と生活習慣の改善が中心となります。

日常生活でのケア

カフェイン、アルコール、喫煙を控える
就寝前に脚をマッサージやストレッチする
鉄分を補給する

薬物療法

症状が改善しない場合は、以下の薬物が使用されます。

ドーパミン作動薬
GABA誘導体
抗痙攣薬

症状や原因に合わせて、適切な薬物療法を選択します。自己判断で薬を服用せず、必ず医師の指示に従ってください。

鑑別診断

以下の疾患と鑑別が必要です。

夜間下肢痙攣
末梢神経障害
血管疾患
線維筋痛症

問題点と対策

RLSは、身体所見や検査で異常が見つかりにくいため、診断が遅れることがあります。症状に悩んでいる場合は、睡眠障害を専門とする医師（神経内科医、精神科医など）に相談することが重要です。

社会的認知度

RLSは、以前に比べて認知度が向上してきましたが、まだ十分ではありません。適切な診断と治療を受けることで、症状を改善し、生活の質を高めることができます。

推定患者数

日本国内の患者数は、推定で人口の3～4%とされています。潜在的な患者を含めると、約500万人近くが存在すると推測されています。

終わりに

むずむず脚症候群は、適切な治療とケアによって症状をコントロールできる疾患です。症状に悩まず、専門医に相談して、快適な生活を取り戻しましょう。

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