やじうま寄席

やじうま寄席

『やじうま寄席』（やじうまよせ）は、1971年4月17日から1980年3月29日まで、日本テレビ系列局で毎週土曜日に放送されていたバラエティに富んだ演芸番組です。製作は日本テレビが行っていました。

概要

この番組は、それまで放送されていた『円歌・談志の土曜寄席』をリニューアルする形でスタートしました。土曜日の昼下がりに、気軽に演芸を楽しめる番組として企画されたものです。番組収録は、同じく日本テレビが制作し日曜夕方に放送されていた人気番組『笑点』と同様に、東京都文京区にある後楽園ホールで行われていました。

番組の内容は、寄席本来の演芸披露にとどまらず、オークションや大喜利といった様々な企画を取り入れたバラエティ色の強い構成が特徴でした。特に番組開始当初は、司会を務めた七代目立川談志氏が国会議員であったことから、当時現職の国会議員だった石原慎太郎氏などをゲストに招き、政治に関するトークが繰り広げられる異色の側面も持っていました。しかし、番組の放送時間が徐々に前倒しされるにつれて、こうした政治トークの要素は薄れ、より一層お笑いを主軸とするバラエティ番組へと内容が変化していきました。

放送期間と時間

日本テレビでの放送時間は、幾度か変更されています。以下にその変遷を示します（時間は全て日本標準時）。

1971年4月17日 - 1971年12月25日: 毎週土曜 13:00 - 14:00
1972年1月8日 - 1974年3月20日: 毎週土曜 12:30 - 13:30
1974年4月6日 - 1975年3月29日: 毎週土曜 12:00 - 13:00
1975年4月5日 - 1977年3月26日: 毎週土曜 12:00 - 13:15 （この期間のみ75分枠で放送）
1977年4月2日 - 1980年3月29日: 毎週土曜 12:00 - 13:00

主な出演者

司会

番組の顔となる司会者は、時期によって交代がありました。

三遊亭圓歌: 番組初期の司会者の一人でしたが、1971年9月末をもって降板しました。
七代目立川談志: 番組の開始から長らく司会を務めました。しかし、1976年1月に務めていた沖縄開発庁政務次官を辞任したことをきっかけに、番組からも降板することになりました。
毒蝮三太夫: 複数司会体制の一員として出演し、特に後述の「やじうまのど自慢」コーナーで重要な役割を担いました。
月の家圓鏡（後の八代目橘家圓蔵）: 三遊亭圓歌氏の後任として1971年10月から司会に加わりました。1972年1月から1974年3月にかけては、同じ土曜日の12時台にフジテレビで放送されていた裏番組『歌のスターパレード』の司会も兼任していたため、この期間は『やじうま寄席』には13時台の「やじうまのど自慢」コーナーから出演していました。

レギュラー・準レギュラー

番組には様々な分野から多彩な出演者がレギュラーまたは準レギュラーとして登場しました。

石原慎太郎、青空千夜・一夜、六代目宝井馬琴、桂小益（後の九代目桂文楽）、林家パー子、灘康次とモダンカンカン、横森良造、ディック・ミネ、淡谷のり子、小野ヤスシ、キャッツ★アイ、団しん也 ほか

主なコーナー

『やじうま寄席』では、演芸以外にも様々な企画コーナーが設けられていました。

やじうまオークション: 観客が会場で様々な品物を競り落として購入する企画です。コーナーの進行は桂小益氏が担当した後、小野ヤスシ氏に引き継がれました。オークションの売上金は、社会福祉事業を支援する愛の小鳩事業団（現在の日本テレビ小鳩文化事業団）へ寄付されました。小野氏が担当していた時期には、コーナーの後半で「ぬぐぬぐバーゲン」というユニークな企画も行われました。これは、女性モデルがその場で衣装を脱ぎ、その脱いだ衣装を観客が競り落とすというものでした。

毎年、その年の最終放送日には、通常のオークションに加えて「富籤大会」が開催されました。これは、事前に観客が一人一枚富札（一枚100円、収益金は愛の小鳩事業団へ寄付）を購入し、番組内で抽選を行って当選者に賞品が贈られるという趣向でした。

やじうまフレンド: 幼馴染同士の一般の高齢者の方々が登場し、若い頃やこれまでの人生に関する思い出話に花を咲かせるコーナーでした。進行は青空千夜氏が担当しました。

やじうまカンカン: 「やじうまフレンド」に代わる形で登場したコーナーです。灘康次とモダンカンカンが登場し、歌と笑いを届ける企画でした。一時的にコーナータイトルが「やじうまパドック」に変更されていた時期もあります。コーナー開始当初には、青空千夜・一夜による短い漫才が冒頭に組み込まれていましたが、これは後に廃止されました。

やじうまゲバカメラ: 「やじうま不枠」というコーナーの後継として設けられました。様々な場所で撮影されたビデオ映像を紹介する企画でした。

やじうま演芸: 寄席番組の核となる演芸を披露するコーナーです。当初は二組の芸人が登場し、それぞれの寄席芸を披露した後、司会者がどちらが面白かったかを判定する形式が取られていました。しかし、番組末期には登場する芸人が一組となり、優劣の判定も行われなくなりました。代わりに、番組末期のこのコーナー冒頭では、アイドルグループのキャッツ★アイが持ち歌の「恋の導火線」を披露することが恒例となりました。

* やじうまのど自慢: 番組を代表する人気コーナーの一つで、NHKの長寿番組『NHKのど自慢』を模したパロディ企画です。毎週五組の芸人が登場し、本家さながらの形式で歌まねを披露しました。司会・進行は月の家圓鏡氏、演奏は横森良造氏が担当し、毒蝮三太夫氏が本家同様に合格の鐘を叩く役を務めました。歌まねの審査は当初、司会の立川談志氏が担当しましたが、彼の番組降板後は一時的に一般の視聴者が審査員を務める形となり、最終的にはディック・ミネ氏と淡谷のり子氏が週替わりで審査員を務めました。番組末期にはこの名物コーナーも終了しました。

特徴・その他

出演者名のテロップ表示には特徴がありました。ゴシック体が使用され、表示方法では、姓や名前の前半部分が、名前の後半部分と比べて約半分ほどの小さな大きさに表示されていました。

プロ野球の開幕戦中継や、当時昼間に行われていた日本シリーズなどが放送される日には、通常放送が短縮されたり、場合によっては番組が休止になったりすることもあったようです。

参考文献
読売新聞縮刷版

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