やすら浜港

やすら浜港について

やすら浜港は、鹿児島県鹿児島郡十島村に属する悪石島の西岸に位置する地方港湾です。東シナ海に面しており、トカラ列島における重要な港の一つとして機能しています。港湾管理者は十島村であり、統計法に基づく港湾調査規則では乙種港湾に分類されています。

概要

悪石島はトカラ列島に属する島の一つであり、やすら浜港は島で唯一の港湾です。この港は、島と外部を結ぶ唯一の交通手段である村営航路が就航する拠点となっています。かつては岸壁が整備されておらず、艀（はしけ）を用いて荷物の積み下ろしを行う「艀取り」が行われていました。しかし、1970年にやすら浜港改修事業が開始され、1977年からは船が直接岸壁に接岸して荷役作業を行うことが可能となりました。

港には、第二次世界大戦末期の悲しい出来事を伝える慰霊碑が建立されています。1944年8月22日、悪石島の北西沖10kmの海域で、沖縄からの疎開船であった貨物船対馬丸がアメリカ海軍の潜水艦ボーフィンの雷撃により撃沈されました。この海難事故では、乗員乗客1,788名のうち1,418名もの尊い命が失われました。この慰霊碑は、犠牲となった方々を悼み、平和を祈念するために建てられました。

2015年度のデータによると、やすら浜港の発着数は226隻（総トン数314,366トン）で、1,896人の利用客がありました。内訳は、乗船客が721人、上陸客が1,175人となっています。

航路

やすら浜港には、十島村が運航する村営航路が就航しています。

主な航路

鹿児島港（本港区南埠頭） - 口之島 - 中之島 - 平島 - 諏訪之瀬島（切石港または元浦港） - 悪石島（やすら浜港） - 小宝島（小宝島港） - 宝島 - 奄美大島（名瀬港）

この航路には、フェリーとしまが週2往復運航しています。また、十島村が保有する高速観光船「ななしま2」をチャーターして利用することも可能です。これらの航路は、島民の生活を支える重要な役割を担っています。

港湾施設

やすら浜港は、悪石島の西岸にある湾に建設されています。港湾施設としては、岸壁となる突堤のみが整備されており、旅客待合所などの施設はありません。このため、利用者は乗船・下船時に注意が必要です。

関連情報

• - 日本の港湾一覧#鹿児島県
• - 国土交通省による港湾統計年報

参考文献

• - 『港湾統計（年報）』国土交通省、2016年。
• - 十島村離島航路改善協議会『航路改善計画』（PDF）十島村、2015年2月2日。

外部リンク

• - 十島村 - 悪石島
• - 十島村港監視カメラシステム - 悪石島（やすら浜港）

やすら浜港は、悪石島の生活を支える上で不可欠な存在であり、同時に、過去の悲しい歴史を伝える場所でもあります。訪れる際には、その両面を理解し、島の自然や文化に敬意を払うことが大切です。

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