ゆふ (列車)

九州を代表する特急列車「ゆふ」と「ゆふいんの森」

本稿では、九州旅客鉄道（JR九州）が運行する特急列車「ゆふ」と「ゆふいんの森」、およびその前身である優等列車の歴史について詳細に解説します。

特急「ゆふ」：信頼の3往復体制

1992年7月15日、それまで急行として運行されていた「由布」は、JR四国から譲渡されたキハ185系気動車の導入を機に特急「ゆふ」へと格上げされました。「由布」は1961年10月1日に運行を開始。当初は博多駅と門司港駅を結ぶ循環列車でしたが、その後博多駅～別府駅間の急行列車へと変更されています。1980年には急行「西九州」を「由布」に統合し、3往復体制となりました。この3往復体制は現在まで継続されており、「ゆふ」は九州の重要な交通手段として活躍を続けています。
2004年から2011年までは、キハ183系気動車を使用した「ゆふDX」も運行されていました。

特急「ゆふいんの森」：高原リゾートをイメージした観光列車

1989年3月11日に運行を開始した「ゆふいんの森」は、JR九州のD＆S（デザイン＆ストーリー）列車の先駆けとして誕生しました。車両デザインは当初「民芸風」が検討されていましたが、関係者との協議の結果「欧州の高原リゾート」をイメージしたデザインへと変更されました。その洗練されたデザインと快適な車内空間は外国人観光客にも人気が高く、多くの観光客を魅了しています。サービス向上のため、車内では無料Wi-Fiも提供されています。

運行概況：2系統の特急列車

「ゆふ」と「ゆふいんの森」は、基本的には2系統の特急列車として運行されています。しかし「ゆふいんの森」が運休となる場合は、同じダイヤで「ゆふ」が運行されることもあります。
九州新幹線全線開業後、鳥栖駅～久留米駅間を運行する唯一の特急列車となっています。

特急「ゆふ」の停車駅と車両

「ゆふ」は博多駅～別府駅間を2往復、博多駅～大分駅間を1往復、合計3往復運行されています。停車駅は博多、二日市、鳥栖、久留米、筑後吉井、日田、天ケ瀬、豊後森、豊後中村、由布院、湯平、向之原、大分、別府で、一部列車は久留米大学前駅、田主丸駅、うきは駅にも停車します。車両は、大分鉄道事業部大分車両センター所属のキハ185系気動車を使用。全車普通車で、グリーン車は設定されていません。2021年3月13日からは、所定は2両編成（指定席1両、自由席1両）となり、ワンマン運転も開始されました。ただし、鳥栖～博多間は車掌が乗務します。多客期には最大5両編成に増結されることもあります。

特急「ゆふいんの森」の停車駅と車両

「ゆふいんの森」は博多駅～由布院駅間を2往復、博多駅～別府駅間を1往復、合計3往復運行。停車駅は博多、鳥栖、久留米、日田、天ケ瀬、豊後森、由布院、大分、別府で、「ゆふ」と比較すると主要駅のみの停車となります。車両は筑豊篠栗鉄道事業部直方車両センター所属のキハ71系・キハ72系気動車を使用し、全車指定席です。ビュッフェ（売店）はキハ71系の2号車、キハ72系の3号車に設置されています。運行開始当初は3両編成でしたが、現在は5両編成で運行されています。

過去の優等列車と災害時の臨時運行

「ゆふ」と「ゆふいんの森」の前身となる優等列車としては、「ゆのか」「あさぎり」「ひこさん」「西九州」などがあり、これらは国鉄時代に運行されていました。1961年に運行を開始した「由布」は、これらの列車を統合する形で誕生しました。

2012年、2017年、2020年の九州北部豪雨では、久大本線の被災により「ゆふ」「ゆふいんの森」は運休を余儀なくされました。しかし、迂回ルートでの運行や、運行区間の変更などにより、可能な範囲で運行を維持しました。これらの災害時の運行状況は、今後の災害対策において貴重な資料となります。

まとめ

「ゆふ」と「ゆふいんの森」は、九州の観光と交通を支える重要な特急列車です。それぞれの列車の特徴や歴史を理解することで、より深く九州の魅力を感じることができるでしょう。今後とも、安全で快適な運行が期待されます。

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