わがままジュリエット

BOØWY 「わがままジュリエット」

「わがままジュリエット」は、日本のロックバンドBOØWYが1986年2月1日にリリースした3枚目のシングルです。作詞・作曲を氷室京介、編曲・プロデュースを布袋寅泰が手掛けました。アルバム『JUST A HERO』からの先行シングルとして発表され、BOØWYの代表曲の一つとして広く認知されています。

楽曲の背景と制作

前作「BAD FEELING」のリリース後、次作シングル候補として「NO. NEW YORK」をA面にする案が出ましたが、メンバーはアルバム制作を優先。氷室が「もっといい曲を書く」とスタッフを説得し、本作が制作されました。氷室は作曲にあたり、初めて4chMTRを用いてデモテープを制作しています。タイトルは仮歌の段階から「わがままジュリエット」と名付けられていました。

レコード会社は当初、ロック色の強い「ROUGE OF GRAY」をシングル候補として推していましたが、ディレクターの子安次郎が本作を推薦。会議では「BOØWYらしくない」という意見も出ましたが、バンドのステップアップのためリリースが決定されました。子安は後年、本作が日本の音楽を変えたと評価されたことを知り、選んで良かったと述懐しています。

氷室自身も、シングルでBOØWYの全てを語ることは不可能としつつも、第三者にとって分かりやすい曲であればシングルになることを了承したと語っています。

音楽性と構成

音楽ライターの安部薫は、本作を「ロマンティックな歌謡曲」と評し、難解な歌詞の中に深みがあると指摘しています。B面には布袋寅泰作曲のインストゥルメンタル曲「BEGINNING FROM ENDLESS」のライブ音源が収録されており、ライブのオープニングSEとして使用されていた楽曲です。また、「GIVE IT TO ME (LIVE VERSION)」は、アルバム『MORAL』収録曲のライブバージョンで、オリジナルとはアレンジが異なり、歌詞も追加されています。

リリースとプロモーション

1986年2月1日に7インチレコードでリリースされ、1989年には8センチCDで再リリース。2013年にはCD-BOXにも収録されました。BOØWY初の本格的なミュージック・ビデオが制作され、『オールナイトフジ』や『夜のヒットスタジオDELUXE』などのテレビ番組にも出演し、プロモーション活動が行われました。

チャート成績とミュージック・ビデオ

オリコンシングルチャートでは、最高位39位を記録。ミュージック・ビデオは前嶋輝が監督を務め、少女が洋館で危険な目に遭うストーリーが描かれています。メンバーは演奏シーン以外では、氷室が所々に登場するのみとなっています。

ライブ・パフォーマンス

ライブでは歌詞の一部が変更されて歌唱されており、シンセやコーラスのパートはMTRで同期させて演奏されていました。1987年のライブでは、高橋まことのヘッドフォンが外れるトラブルもありました。

カバー

氷室京介自身によるセルフカバーをはじめ、Ryoji（ケツメイシ）やPERSONZなど、多くのアーティストによってカバーされています。

シングル収録曲

わがままジュリエット
BEGINNING FROM ENDLESS (LIVE VERSION)
GIVE IT TO ME (LIVE VERSION)

スタッフ・クレジット

氷室京介 - ボーカル
布袋寅泰 - ギター
松井恒松 - ベース
高橋信 - ドラムス

収録アルバム

JUST A HERO (1986年)
“SINGLES” (1988年)
THIS BOØWY (1998年)
“GIGS” JUST A HERO TOUR 1986 (1986年)
“LAST GIGS” (1988年)

「わがままジュリエット」は、BOØWYの音楽性を象徴する一曲として、今もなお多くのファンに愛され続けています。

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