アウダーチェ級駆逐艦 (2代)

アウダーチェ級駆逐艦の概要

アウダーチェ級駆逐艦（イタリア語: caccia classe audace）は、イタリア海軍において1950年代から2000年代までの約半世代にわたって運用されたミサイル駆逐艦の艦級です。この艦級は、第二次世界大戦後に始まったイタリア海軍の再建計画の一環として設計・建造されました。

来歴と背景

第二次世界大戦後、イタリア海軍は1950-51年に策定された計画に基づいてインペトゥオーソ級の建造を始め、その後国産駆逐艦の再開が図られました。1950年代に入ると、新しいミサイル駆逐艦の建造が推進され、インペトゥオーソ級を基にしたインパヴィド級の艦が造られました。その後、アンドレア・ドーリア級やヘリコプター巡洋艦の建造に伴い、1966-67年度の計画の中で本級が拡大改良型として計画されました。

設計と性能

アウダーチェ級は、インパヴィド級の拡大改良型として設計されており、満載排水量は約700トン増加しました。また、外観も中央船楼型から平甲板型に変更されるなど大幅な設計変更が行われました。居住性の向上も考慮され、フィンスタビライザーが搭載されることで減揺機能が強化されました。機関出力は73,000馬力に引き上げられ、電源出力も5,200キロワットとされました。

装備とテクノロジー

アウダーチェ級では、戦闘システムの心臓部としてSADOC-2戦術情報処理装置が搭載され、1980年代末の改修により機能が強化されました。主要なレーダー装置は3次元式のAN/SPS-52と、当初予定された2次元式のAN/SPS-40の代わりに、各艦で異なるレーダーが搭載されました。

ソナーにはアメリカ製のマルチモードソナーであるCWE-610が採用され、各種武器システムが搭載されました。特に防空用のターター・システムが重要であり、Mk.74などのミサイル射撃指揮装置を備えて、艦隊防空能力が強化されました。

武器システム

アウダーチェ級の武器システムには、54口径127mm速射砲、62口径76mm速射砲、対潜兵器としての短魚雷発射管が含まれます。1980年代の改修で、ミサイル発射能力が強化され、また艦載機の運用能力も向上しました。これによりヘリコプター甲板と格納庫が整備され、航空支援能力も大幅に強化されています。

運用と退役

アウダーチェ級は当初2050年までの退役計画が立てられていましたが、後続のアニモソ級やホライズン計画の遅延から、その就役期間は延長されました。最終的には、2006年に全艦が退役し、アンドレア・ドーリア級の駆逐艦がその後継として2007年から就役を開始しました。アウダーチェ級はその設計思想と技術において、イタリア海軍のミサイル駆逐艦の基幹を担った重要な艦級であったと言えるでしょう。

もう一度検索