アエル (仙台市)

仙台駅西口のランドマーク、AER（アエル）

AER（アエル）は、宮城県仙台市青葉区中央に位置する高層複合施設です。JR仙台駅西口北側の再開発事業によって1998年に完成しました。地下3階、地上31階建てで、商業施設、オフィス、公共施設が一体となった構造が特徴です。

概要

AERは、仙台駅周辺の再開発プロジェクトの中核を担い、低層部には商業施設「Shop & Wonder AER」、中層部には仙台市の公共施設、そして高層部にはオフィスフロアが配置されています。延床面積は73,131平方メートルに及び、最上階には無料の展望テラスが設けられています。

完成当時、高さ145.5メートルは東北地方で2番目に高い建築物でしたが、その後に建設された東北電力本店ビルや仙台トラストタワーなどの高層ビルに抜かれ、現在は5番目となっています。

建設には、フジタが開発した全天候型ビル自動建設システム「あかつき21」が採用され、当時の技術としては最先端の事例でした。また、居住性を高めるため、制振装置も導入されています。

事業費は約746億円で、当初は民間への売却を目指しましたが、バブル崩壊の影響で売却先が見つからず、最終的には仙台市がフロアの大部分を保有し、テナントに貸し出す形になりました。その後、2007年に外資系投資ファンドに、2015年には三菱地所系の不動産投資信託に所有権が移転しています。

沿革

着工までの経緯

AERが建設された場所は、第二次世界大戦中に空襲を免れたものの、インフラ整備が遅れていました。仙台市は1970年からこの地域の再開発調査を開始し、仙台駅に最も近い1.7ヘクタールの地区から着手しました。

この地区は駅に近い利便性の高い立地である一方、多くの権利者が存在したため、民間の再開発が困難でした。そのため、仙台市が事業主体となる第二種市街地再開発事業が採用され、市が土地を買収してビルを建設し、完成後に希望者に売却することになりました。

当初はホテルを主体とする21階建ての計画でしたが、バブル崩壊によりオフィスと商業施設からなる31階建ての計画に変更されました。

再開発ビルの運営形態

1階から4階の商業フロアは、仙台市、権利者、日専連ファイナンス、東京美装興業が共有し、地下駐車場と5階から8階の公共フロアは仙台市が所有することになりました。9階から30階のオフィスフロアは、仙台市、日専連仙台会、東北ミサワホーム、同和興業がそれぞれ取得し、共有となりました。

管理運営は、株式会社クロップスが担当し、商業フロアの運営はアエル株式会社が行うことになりました。アエル株式会社は、日専連ファイナンスや七十七銀行などが出資し、クロップスからフロアを賃借してテナント誘致を行っています。最上階の31階は、アエル株式会社が取得し、独自のテナントフロアとして運営されました。

年表

1984年12月4日: 高度利用地区告示、都市計画の告示
1986年10月7日: 高度利用地区変更の告示
1987年6月19日: 仙塩広域都市計画事業仙台駅北部第一南地区第二種市街地再開発事業施行規程を制定
1988年5月6日: 事業計画決定の公告
1992年2月28日: 都市計画変更の告示
1994年11月1日: 事業計画変更の公告
1995年3月17日: 建築工事着工
1998年3月19日: 建築工事竣工
1998年3月20日: "Shop&Wonder AER" 開業

受賞歴

全日本建設技術協会『21世紀の「人と建設技術」賞』（1998年）
日本鋼構造協会『鋼構造優秀作品』（1999年）
日本消防設備安全センター『優良消防防災システム表彰』（1999年）
照明学会『照明普及賞優秀施設賞』（1999年）

テナント

AERには、商業フロア、公共フロア、オフィスフロアがあり、様々なテナントが入居しています。

商業フロア (1階 - 4階): 「Shop & Wonder AER」として、アトリウムを中心に様々な店舗が入居しています。1階には丸善書店やコンビニ、2階には婦人服や雑貨店、3階にはユニクロ、4階にはオフィスベンダーや文具店があります。
公共フロア (5階 - 8階): 仙台市産業振興事業団や仙台市教育委員会の施設があります。多目的ホールや会議室、仙台子ども体験プラザなどが利用可能です。
オフィスフロア (9階 - 30階): 多くの企業や事務所が入居しており、監査法人、法律事務所、人材派遣会社、教育機関などがあります。

特に、駅からのアクセスの良さから、資格取得予備校や専門学校も入居しています。また、多目的ホールでは様々なイベントが開催され、賑わいを見せています。

フロア構成

1階: 丸善書店、ファミリーマート、ドコモショップなど
2階: スターバックスコーヒー、ファンケルハウスなど
3階: ユニクロ、ローラ・アシュレイなど
4階: オフィスベンダー、文具の杜など
5階 - 7階: 仙台市情報・産業プラザ「ネ!っとU」、多目的ホール、会議室など
8階: 仙台子ども体験プラザ
9階 - 30階: オフィスフロア
28階 - 29階: 仙台市男女共同参画施設「エル・ソーラ仙台」
* 31階: 展望テラス、結婚式場

周辺

AERは、仙台駅北側の徒歩移動の集約地であり、駅前通りや中心部商店街との動線が交わる場所に位置しています。周辺には高層ビルが立ち並び、ペデストリアンデッキで接続されており、地上と2階の高さで歩行者が行き交う多層的な地区となっています。

また、AERの正面には「仙台駅北口」バス停が設置されており、アクセスも向上しています。南側には仙台パルコが入る「仙台マークワン」があり、両ビル間はペデストリアンデッキで結ばれています。

まとめ

AERは、仙台駅周辺の再開発を象徴する複合施設であり、商業、オフィス、公共施設が一体となった利便性の高い空間を提供しています。その歴史や構造、テナント構成を理解することで、より深くAERの魅力を知ることができます。

もう一度検索