アクバルジ晋王

アクバルジ晋王：短命に終わったハーン

アクバルジ晋王（Агваржин хаан, Agbarjin, 1423年 - 1452年）は、15世紀のモンゴル皇族であり、 brief reign で知られています。1452年に第28代（北元としては第14代）ハーンとして即位しましたが、すぐにエセン・ハーンによって殺害され、王位を簒奪されました。彼はアジャイ（アジャイ・タイジ、アジャイ太子）の息子であり、タイスン・ハーンの弟、マンドゥールン・ハーンの兄にあたります。

生涯

1423年にアジャイの次男として生まれたアクバルジは、1439年に兄のタイスン・ハーンから晋王の称号を与えられ、右翼のトゥメンを統率しました。1452年、タイスン・ハーンとエセン太師の間で後継者争いが起こり、モンゴルとオイラトが分裂して戦う事態となります。当初はモンゴル軍が優勢でしたが、オイラト側の策略によりアクバルジ晋王が兄を裏切ったため、形勢は逆転しました。タイスン・ハーンは敗北し、ウリャンカイ部へ逃亡したものの殺害されました。

アクバルジ晋王は、息子のハルグチュク太子の諫めを聞かず、兄を裏切ったため、モンゴル人からもオイラト人からも嘲笑されるようになりました。オイラト人はハルグチュク太子を恐れていたため、彼らを殺害しようと企みます。エセン太師はハルグチュク太子を庇おうとしましたが、アブドラ・セチェンはアクバルジ晋王をハーンに擁立してから殺害する計画を立てました。こうしてアクバルジ晋王はハーンとなり、エセン太師は晋王となりました。しかし、宴の席でアブドラ・セチェンはアクバルジ・ハーンらを次々に殺害し、ハルグチュク太子も脱出を図ったものの、最終的には殺害されました。1453年、エセン晋王がハーンとなり、モンゴルとオイラトを支配しました。

明朝の記録

明朝の記録にも、アクバルジ晋王に関する記述が残されています。景泰2年（1451年）末頃のモンゴル情勢として、「エセンはトクトア・ブハ（タイスン・ハーン）を咎め、エセンの外甥であるアクバルジ王の息子（ハルグチュク）を太子にしようとした」という報告があります。また、景泰3年（1452年）には、エセンがトクトア・ブハを殺害し、「外甥阿八丁王的男（エセンの外甥で、アクバルジの息子＝ハルグチュク）」をハーンに擁立しようと企んだこと、同年9月には「脱脱不花王的弟男(トクトア・ブハの弟の息子＝ハルグチュク」が亡くなったことが記されています。

まとめ

アクバルジ晋王は、モンゴル帝国の皇族として生まれながら、エセン・ハーンの策略によって短命なハーンの座につき、最終的には殺害された悲劇的な人物です。彼の生涯は、当時のモンゴルとオイラトの複雑な関係、そして権力闘争の激しさを物語っています。

参考資料

岡田英弘訳注『蒙古源流』（刀水書房、2004年、ISBN 4887082436）
岡田英弘『モンゴル帝国から大清帝国へ』藤原書店、2010年
* 和田清『東亜史研究(蒙古篇)』東洋文庫、1959年

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