アセタゾラミド

アセタゾラミドについて

アセタゾラミド（Acetazolamide）は、炭酸脱水酵素阻害薬の一種で、様々な形態（錠剤、粉末、注射剤）で提供されています。特に「ダイアモックス」という商品名で知られ、主に緑内障の治療に用いられていますが、その効能は多岐にわたります。

効能・効果

アセタゾラミドは主に以下の症状や疾患に効果を示すことが報告されています：

• - 緑内障：眼圧を低下させるために使用。
• - てんかん：他の抗てんかん薬で効果が不十分な場合に追加使用。
• - 肺気腫による呼吸性アシドーシスの改善。
• - 心性浮腫や肝性浮腫の治療。
• - 月経前緊張症やメニエル病の症状緩和。
• - 睡眠時無呼吸症候群：特に錠剤形が適用されます。

作用機序に関して

アセタゾラミドは、主に近位尿細管において炭酸脱水酵素を阻害することにより、重炭酸イオン（HCO₃⁻）の再吸収を抑制し、利尿作用を引き起こします。この作用によって、心不全や緑内障に対して有効であることが確認されています。特に緑内障の場合、毛様体にある炭酸脱水酵素を抑制することで房水の産生を減少させ、眼圧を下げることに寄与します。

また、メニエール病の治療においては、内耳でのリンパ液の分泌を抑制するなかで、月経前緊張症の症状緩和やてんかんの補助療法としても利用されています。水頭症に対しては脳脊髄液の産生を抑える目的で適用されることもあります。

高山病への効果

アセタゾラミドは、高山病の予防にも効果を示すことがあります。特に、腎臓での炭酸脱水酵素阻害により代謝性アシドーシスが起こり、それに対して呼吸性アルカローシスが促進される現象を利用して、高山病の症状を抑える効果が観察されています。メタアナリシスによると、登山前日から4日間、1日2回125mgを服用することで高山病のリスクを有意に減少させることが報告されています。

使用にあたっての注意

アセタゾラミドは、脳血管拡張作用があり、20年以上にわたり脳循環予備能の評価に使用されていますが、急性心不全や肺水腫などの深刻な副作用も報告されています。そのため、使用する際には医療機関での注意が必須です。

禁忌

次の患者には効果が認められず、使用が禁止されています：

• - 進行した肝疾患や高度の肝機能障害。
• - 無尿及び急性腎不全の患者。
• - 高クロール血症性アシドーシス。
• - 電解質異常がある患者。
• - 慢性閉塞隅角緑内障患者、アジソン病患者。

副作用

アセタゾラミドに関連する副作用には、代謝性アシドーシス、電解質異常や腎機能の障害などがあり、深刻な場合には死亡につながることもあります。具体的には多尿、過敏症、食欲不振、痙攣などが見られることがあります。そのため使用には十分な注意が必要です。妊娠マウスを用いた研究では、胎児に対して有害な影響が観察されています。

まとめ

アセタゾラミドは、緑内障の治療には非常に有用ですが、その使用には多くの注意事項と禁忌があります。医師の指導のもとで、適切に使用することが求められます。

もう一度検索