アタランタ作戦

アタランタ作戦（European Union Naval Force Somalia、略称：EU-NAVFOR-ATALANTA）は、欧州連合（EU）が主導するソマリア沖での海賊対策を目的とした軍事作戦です。この作戦は、ギリシア神話の英雄アタランテーにちなんで命名されました。

作戦の主な任務

アタランタ作戦の主な任務は、以下の4点です。

1. ソマリア沖での海賊行為の抑止、阻止、鎮圧
2. 国際連合世界食糧計画（WFP）によるソマリア避難民向け援助食糧を輸送する船舶の保護、およびアフリカ連合ソマリア・ミッション（AMISOM）関連の輸送保護
3. 状況に応じたソマリア沿岸での脆弱な海運の保護
4. ソマリア沖での漁業監視

この作戦は、EUの共通安全保障防衛政策（CSDP）の枠組みにおける初の海軍作戦としても位置づけられています。

作戦の背景

ソマリア沖では、海賊行為が頻発しており、国際的な海運に大きな脅威となっていました。ソマリア暫定政府は海賊対策を講じていましたが、効果は限定的でした。そのため、外国軍艦の領海内への進入を許可しましたが、海賊がソマリア領海に入ると追跡を中断せざるを得ない状況でした。

こうした状況の中、国際連合安全保障理事会は2008年6月2日に決議1816を採択し、ソマリア暫定政府に協力する国に対し、6ヶ月間領海内で海賊行為に対して必要な措置をとることを認めました。この決議により、アタランタ作戦が本格的に開始されることとなりました。

作戦の展開

アタランタ作戦は、2008年12月から参加各国軍がそれぞれの担当海域で行動を開始しました。当初はソマリア沖に限定されていましたが、海賊の活動範囲が拡大したため、セーシェル諸島沖まで活動範囲を広げ、海上監視活動を強化しました。

また、海賊の根絶には海上作戦だけでは不十分であるとの認識から、フランスの提案によりジブチを拠点にソマリア治安部隊の訓練も検討されました。

2009年以降、作戦は延長を重ね、2012年3月には2014年12月までの延長が決定されました。2012年5月には、アタランタ作戦によってソマリア海賊の兵站拠点を破壊したことが報告されています。

参加国と部隊

アタランタ作戦には、EU加盟国であるベルギー、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、ギリシャ、オランダ、スペイン、スウェーデンが中心となり、モンテネグロ、マルタ、アイルランド、フィンランドからも本部要員が派遣されています。

さらに、EU非加盟国であるノルウェーやウクライナも、それぞれ軍艦や特殊部隊を派遣しています。

作戦に参加した主な艦艇には、サンタ・マリア級フリゲート、エリ級フリゲート、ブランデンブルク級フリゲート、ブレーメン級フリゲート、ラファイエット級フリゲートなどがあります。

また、航空機としてはCASA CN-235、ロッキードP-3 オライオンなどが運用されました。

アタランタ作戦の意義

アタランタ作戦は、国際社会が協力して海賊行為に立ち向かう姿勢を示す重要な例です。この作戦によって、ソマリア沖の海賊行為は大幅に減少しており、国際的な海運の安全確保に大きく貢献しています。また、EU初の海軍作戦としての実績も、今後のEUの安全保障政策において重要な意味を持っています。

関連項目

アフリカの角における不朽の自由作戦
対テロ戦争
第151合同任務部隊
ソマリア沖海賊の対策部隊派遣
清海部隊
中華人民共和国のソマリア沖海賊対策
ロシアのソマリア沖海賊対策

外部リンク

EUNAVFOR Somalia
イギリス海軍 Putting the boot into piracy
YouTube Fighting piracy on the Somali coast EUX.TV

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