アダ級コルベット

アダ級コルベットについて

アダ級コルベットは、トルコ海軍が運用するコルベットの艦級であり、トルコ初の完全国産大型水上戦闘艦です。計画は1996年から始まり、ミルゲム（MİLGEM）という名称で知られています。本艦は、主に沿岸域での対水上および対潜戦を念頭に置いて設計されており、ロッキード・マーティン社のフリーダム級沿海域戦闘艦に類似したステルス性を持っています。

設計と性能

アダ級コルベットは、長船首楼型という船形を採用し、耐航性に優れているため、シーステート5の条件でも全ての任務を遂行できる能力を有しています。部分的にはシーステート6にも対応可能です。主機関はCODAG方式で、2基のMTU 16V595 TE90ディーゼルエンジン（合計出力約23,160馬力）と1基のゼネラル・エレクトリックLM2500ガスタービンエンジン（31,000馬力）を搭載しており、単独でディーゼルエンジンによる15ノットの巡航も実現可能です。

武装と装備

戦闘システムの中心には、国内開発のGENESIS戦術情報処理装置が採用されています。このシステムは、以前のG級フリゲートの近代化改修においても用いられました。アダ級はG-MSYS（GENESYS MILGEM Savas Yonetim Sistemi）なる派生型も開発され、リンク 11のほかリンク 16にも対応可能です。さらには、将来的にはリンク 22にも対応予定です。

主センサーにはSバンドの3次元レーダー「SMART-S Mk.2」があり、これはMEKO型フリゲートやG級フリゲートへの装備も計画されています。このレーダーはトルコ国内でライセンス生産が行われ、2010年に契約が締結されました。航海用レーダーは低被探知性（LPI）を有し、ソナーにはアメリカ製のAN/SQS-56を基に開発されたヤカモズが装備されています。

同型艦と派生型

アダ級コルベットは元々さらに4隻が計画されていましたが、これらは拡張型のイスタンブール級(I級)フリゲートとして建造されています。1番艦は2017年に起工し、2021年に進水しました。派生型としては、情報収集艦「ウフク（TCG Ufuk）」があり、2022年に就役しました。ウフクは、兵装やヘリコプター格納庫を改修し、エリントおよびシギントなどの任務を担うことができる艦です。

輸出計画

2011年にはインドネシア海軍向けに2隻の建造契約が報じられましたが、これらは後にキャンセルされ、オランダのシグマ級コルベットのライセンス生産に変更されました。また、2018年にはパキスタン海軍向けにジンナー級フリゲートとして4隻の契約が結ばれ、これにはトルコ国産のCIWSシステムやVLSシステムが追加される見込みです。さらに、2020年にはウクライナ海軍向けのライセンス生産契約が発表されました。

アダ級コルベットはトルコの海軍力を支える中核的な艦船として、地域の安全保障に寄与し続ける重要な役割を果たしています。

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