アドミラル・ヒッパー (重巡洋艦)

アドミラル・ヒッパー：ドイツ重巡洋艦の生涯

アドミラル・ヒッパーは、ドイツ海軍のアドミラル・ヒッパー級重巡洋艦の1番艦として、その名を歴史に刻みました。艦名は、ドイツ帝国海軍の英雄フランツ・フォン・ヒッパー提督に由来します。この艦は、第二次世界大戦の主要な局面で活躍し、その生涯は数々の戦闘と作戦で彩られました。

起工から就役まで

1935年7月6日、アドミラル・ヒッパーはハンブルクのブローム・ウント・フォス造船所で起工されました。1937年2月6日に進水し、1939年4月29日に正式に就役しました。この艦は、当時最新鋭の技術が投入されたドイツ海軍の誇るべき存在でした。

ノルウェー戦での活動

アドミラル・ヒッパーは、1940年4月のノルウェー侵攻作戦に参加し、その戦闘能力を初めて発揮しました。4月8日には、トロンヘイム沖海戦でイギリスの駆逐艦グローウォームと交戦し、これを撃沈しました。しかし、グローウォームの体当たり攻撃により損傷を受けました。4月9日にはトロンハイム港に兵員を上陸させ、同地を占領しました。

その後、損傷を修復し、6月にはシャルンホルスト、グナイゼナウと共にユーノー作戦に参加。6月26日には、搭載機がイギリス潜水艦トライトンを撃沈したと報告しましたが、実際には損害は無く、誤報でした。6月27日にはフィンランドからイギリスへニッケルを運ぶ船を狙って出撃しましたが、成果は無く、商船エスター・トールデンを拿捕したのみでした。ドック入りの必要性から、8月11日に作戦を打ち切り、ヴィルヘルムスハーフェンへ帰還しました。

大西洋での通商破壊戦

ノルウェーから帰還後、アドミラル・ヒッパーは大西洋での通商破壊戦に投入されました。しかし、1940年9月24日の出撃直後、冷却ポンプの故障やタービンの異常振動、潤滑油供給管の破損などの機械トラブルに見舞われ、作戦は中止となりました。修理後、11月30日に再び大西洋へ出撃し、12月6日にはデンマーク海峡を通過しました。その後、船団攻撃を開始しましたが、燃料不足や機械トラブル、悪天候に悩まされ、目標の船団を発見できませんでした。

12月25日、兵員輸送船団WS5Aを攻撃しました。この攻撃で輸送船2隻を損傷させ、重巡洋艦ベリックにも損害を与えましたが、敵護衛艦隊の反撃により戦場を離脱。その後、貨物船ジュムナを撃沈しました。12月27日にはブレストに到着しました。1941年2月1日には再度大西洋へ出撃。2月11日にはイギリス貨物船アイスランドを撃沈し、翌日にはSLS64船団を攻撃し、複数の船舶を撃沈、損傷させました。その後、ドイツ本国に戻り、大規模な改修を受けました。

北方での活動

1942年3月、アドミラル・ヒッパーはノルウェーへ派遣されました。7月には戦艦ティルピッツなどと共にPQ17船団攻撃作戦に参加しましたが、敵に発見されたため作戦は中止となりました。9月にはPQ18船団攻撃のために出撃しましたが、ヒトラーの命令によりこれも中止。その後、ノヴァヤゼムリャ沖への機雷敷設作戦に従事しました。11月には敵独航船を攻撃する作戦に出撃し、12月にはJW-51B船団攻撃に参加、損傷しました。修理のためヴィルヘルムスハーフェンに戻り、ゴーテンハーフェンに移動しました。

戦争末期と最期

大戦末期には、アドミラル・ヒッパーはバルト海沿岸地域でソ連地上軍への砲撃を実施しました。また、東部地域からの避難民救出作戦（ハンニバル作戦）にも参加し、避難民の輸送にも従事しました。1945年4月上旬には空襲を受けて損傷し、キールで入渠中に5月3日の空襲で着底しました。1948年に引き上げられ、1952年に解体されました。

アドミラル・ヒッパーの艦歴は、その技術力の高さを示す一方で、戦争の過酷さを物語っています。この重巡洋艦は、ドイツ海軍の象徴として、その短い生涯を戦い抜きました。

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