アドルフォ・ニコラス
アドルフォ・ニコラス・パション（Adolfo Nicolás Pachón, 1936年4月29日 - 2020年5月20日）は、スペイン出身のカトリック司祭、神学者であり、第30代イエズス会総長（2008年1月19日 - 2016年10月3日）を務めた人物です。
アドルフォ・ニコラスは、スペインのパレンシア県ビリャムリエル・デ・セラートで生まれました。1953年にイエズス会に入会し、アランフエスで修練を積みました。その後、アルカラ大学で哲学の学士号を取得した後、日本に渡り、1960年まで日本語と日本文化を学びました。1964年には上智大学神学部に入学し、神学を学び、1967年3月17日に司祭に叙階されました。
1968年から1971年まで、ローマの教皇庁立グレゴリアン大学で学び、神学博士号を取得しました。帰国後、母校である上智大学で13年間、組織神学の教授を務めました。1978年から1984年にかけては、フィリピンのマニラにあるアテネオ・デ・マニラ大学の東アジア司牧研究所所長を務めました。その後、日本に戻り、1991年から1993年まで東京で修練院院長を務めた後、イエズス会日本管区長として2000年まで務めました。
さらに3年間、上智大学神学部で教鞭を執る傍ら、東京で特に開発途上国から来た貧しい移民の司牧活動に尽力しました。1998年には、教皇庁と対立し、複数のアジア人司教と共に教会の意思決定における地方組織への権限委譲を求めました。
ニコラスは、母語のスペイン語に加え、カタルーニャ語、英語、イタリア語、フランス語、そして日本語を読み書き話すことができました。2004年にはイエズス会東アジア・オセアニア会議（JCEAO）のモデレーターに任命され、再びフィリピンへ赴きました。モデレーターとして、オーストラリア、中国、日本、韓国、ミクロネシア、ミャンマー、東ティモールなど、多くの国々を訪問し、調整役を務めました。
2008年1月19日、第35回総会で、ニコラスは第30代イエズス会総長に選出されました。この選挙結果は、当時の教皇ベネディクト16世に伝えられました。ニコラスは、同じくスペイン出身で日本での司牧経験を持つ第28代総長ペドロ・アルペ神父との類似点が指摘されています。彼は、当時19,126人を擁するカトリック最大の男子修道会を率いることとなりました。
2016年の第36回総会で80歳を迎えたことを理由にイエズス会総長を退任し、後任には初のヨーロッパ外出身のアルトゥロ・ソサ・アバスカルが選出されました。総長辞任後は、マドリードで家族と過ごした後、マニラの東アジア司牧研究所と上智大学アルペ国際学生寮で奉仕活動を行いましたが、健康を害したため、2018年8月より東京の上石神井にあるイエズス会の静養施設で生活するようになりました。2019年7月には、アルトゥロ・ソサ総長が来日した際に、その施設で面会を行いました。同年11月には、イエズス会出身の教皇フランシスコが来日した際、上智大学SJハウスにて面会を行いました。
2020年5月20日、アドルフォ・ニコラスは、東京都の桜町病院で84歳で亡くなりました。葬儀ミサは5月23日に聖イグナチオ教会で行われましたが、新型コロナウイルス感染症の流行のため非公開となり、YouTubeで生配信されました。また、ローマでは同日、ジェズ教会でイエズス会総長のアルトゥロ・ソサによって追悼ミサが捧げられました。
ニコラスは、「アジアは教会、全教会に対して、まだ多くのことをなしていないし、やり終えてもいない。われわれが勇敢ではなかったか、とるべき冒険をさけてきたことということではないか」と述べています。また、彼は、人々の生活に入り込むことによって、現在の地位を根本から考え直す必要性があると指摘し、教義の伝達よりも文化交流を重視しました。さらに、第35回総会を「核心にある行事」と捉え、議論は友愛に満ちたリズムで、相互性を持ちながら行われるべきだと述べました。彼は、祈り、内省、そして対話を重視し、これらが修道会の再生に不可欠であると強調しました。
また、「多くの感嘆を得ながら付きしたがう人々は少数である」という問いに対して、ニコラスはイエズス会が、信仰生活における内面と高さを持ち、共同体の目撃者として、教会や世界に貢献できるような修道会の再生に取り組むことを望んでいると語りました。
アドルフォ・ニコラス SJ「日本教会の外国人司牧」『社会司牧通信』106号 2002年2月15日 イエズス会社会司牧センター
"Nuevo General de la Compañía: Adolfo Nicolás Pachón SJ"(リンク切れ), jesuitas.es / Compañía de Jesús
"Adolfo Nicolás Pachón SJ (Perfil)", jesuitas.es / Compañía de Jesús
Daniel Patrick Huang, S.J."OUR NEW GENERAL: Adolfo Nicolas, S.J.", JCEAO, Monday, 21 January 2008.
"Spaniard becomes new Black Pope", New York Times
"Habemus Papam: Jesuits Go Ad Orientem", Whispers in the Loggia
生涯
アドルフォ・ニコラスは、スペインのパレンシア県ビリャムリエル・デ・セラートで生まれました。1953年にイエズス会に入会し、アランフエスで修練を積みました。その後、アルカラ大学で哲学の学士号を取得した後、日本に渡り、1960年まで日本語と日本文化を学びました。1964年には上智大学神学部に入学し、神学を学び、1967年3月17日に司祭に叙階されました。
1968年から1971年まで、ローマの教皇庁立グレゴリアン大学で学び、神学博士号を取得しました。帰国後、母校である上智大学で13年間、組織神学の教授を務めました。1978年から1984年にかけては、フィリピンのマニラにあるアテネオ・デ・マニラ大学の東アジア司牧研究所所長を務めました。その後、日本に戻り、1991年から1993年まで東京で修練院院長を務めた後、イエズス会日本管区長として2000年まで務めました。
さらに3年間、上智大学神学部で教鞭を執る傍ら、東京で特に開発途上国から来た貧しい移民の司牧活動に尽力しました。1998年には、教皇庁と対立し、複数のアジア人司教と共に教会の意思決定における地方組織への権限委譲を求めました。
ニコラスは、母語のスペイン語に加え、カタルーニャ語、英語、イタリア語、フランス語、そして日本語を読み書き話すことができました。2004年にはイエズス会東アジア・オセアニア会議（JCEAO）のモデレーターに任命され、再びフィリピンへ赴きました。モデレーターとして、オーストラリア、中国、日本、韓国、ミクロネシア、ミャンマー、東ティモールなど、多くの国々を訪問し、調整役を務めました。
2008年1月19日、第35回総会で、ニコラスは第30代イエズス会総長に選出されました。この選挙結果は、当時の教皇ベネディクト16世に伝えられました。ニコラスは、同じくスペイン出身で日本での司牧経験を持つ第28代総長ペドロ・アルペ神父との類似点が指摘されています。彼は、当時19,126人を擁するカトリック最大の男子修道会を率いることとなりました。
2016年の第36回総会で80歳を迎えたことを理由にイエズス会総長を退任し、後任には初のヨーロッパ外出身のアルトゥロ・ソサ・アバスカルが選出されました。総長辞任後は、マドリードで家族と過ごした後、マニラの東アジア司牧研究所と上智大学アルペ国際学生寮で奉仕活動を行いましたが、健康を害したため、2018年8月より東京の上石神井にあるイエズス会の静養施設で生活するようになりました。2019年7月には、アルトゥロ・ソサ総長が来日した際に、その施設で面会を行いました。同年11月には、イエズス会出身の教皇フランシスコが来日した際、上智大学SJハウスにて面会を行いました。
2020年5月20日、アドルフォ・ニコラスは、東京都の桜町病院で84歳で亡くなりました。葬儀ミサは5月23日に聖イグナチオ教会で行われましたが、新型コロナウイルス感染症の流行のため非公開となり、YouTubeで生配信されました。また、ローマでは同日、ジェズ教会でイエズス会総長のアルトゥロ・ソサによって追悼ミサが捧げられました。
思想
ニコラスは、「アジアは教会、全教会に対して、まだ多くのことをなしていないし、やり終えてもいない。われわれが勇敢ではなかったか、とるべき冒険をさけてきたことということではないか」と述べています。また、彼は、人々の生活に入り込むことによって、現在の地位を根本から考え直す必要性があると指摘し、教義の伝達よりも文化交流を重視しました。さらに、第35回総会を「核心にある行事」と捉え、議論は友愛に満ちたリズムで、相互性を持ちながら行われるべきだと述べました。彼は、祈り、内省、そして対話を重視し、これらが修道会の再生に不可欠であると強調しました。
また、「多くの感嘆を得ながら付きしたがう人々は少数である」という問いに対して、ニコラスはイエズス会が、信仰生活における内面と高さを持ち、共同体の目撃者として、教会や世界に貢献できるような修道会の再生に取り組むことを望んでいると語りました。
外部リンク
アドルフォ・ニコラス SJ「日本教会の外国人司牧」『社会司牧通信』106号 2002年2月15日 イエズス会社会司牧センター
"Nuevo General de la Compañía: Adolfo Nicolás Pachón SJ"(リンク切れ), jesuitas.es / Compañía de Jesús
"Adolfo Nicolás Pachón SJ (Perfil)", jesuitas.es / Compañía de Jesús
Daniel Patrick Huang, S.J."OUR NEW GENERAL: Adolfo Nicolas, S.J.", JCEAO, Monday, 21 January 2008.
"Spaniard becomes new Black Pope", New York Times
"Habemus Papam: Jesuits Go Ad Orientem", Whispers in the Loggia
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