聖イグナチオ教会

聖イグナチオ教会

聖イグナチオ教会、別名カトリック麹町教会は、東京都千代田区麹町に位置するカトリック教会です。JR四ツ谷駅前にあり、上智大学に隣接しています。イエズス会に運営が委託されており、その聖堂名はイエズス会の創立者である聖イグナチオ・デ・ロヨラに由来します。

歴史

聖テレジア教会時代

1912年、東京大司教区の大司教ジャン・ピエール・レイは、東京の要所に土地を購入し、聖堂建設の準備を進めました。1928年には麹町に公教青年会会館が完成。その後、カルメル修道会を迎えるための仮修道院と聖堂が建設されました。1936年、麹町聖テレジア教会が誕生し、田口芳五郎が初代主任司祭に就任しました。設立当初からイエズス会の協力を得ており、1941年にはイエズス会員の大泉孝が主任司祭に就任。ヘルマン・ホイヴェルスは教会司祭館に隠棲して司牧にあたりました。教会はカトリック中央出版部とも関係を持ち、田口芳五郎は日本カトリック新聞社の初代社長にも就任しました。しかし、第二次世界大戦末期には強制取り壊しの通知を受け、1945年の東京大空襲で聖堂は焼失しました。ホイヴェルスは上智大学のクルトゥルハイム聖堂でミサを行うようになりました。

聖イグナチオ教会としての再建

1947年、上智学院は焼け野原となった土地を購入し、上智大学の講堂を修復してミサを行うようになりました。ローマ教皇庁からの復興資金を受けましたが、不足したため、教皇使節パウロ・マレラは麹町教会の再建をイエズス会に委任する案を提示。土井辰雄大司教が同意し、1948年には教皇庁から「永久に修道会に委任された教区教会」として承認されました。新教会の設計はイエズス会員のイグナチオ・グロッペルが担当し、1949年に献堂式が行われ、教会堂名は「聖イグナチオ」と命名されました。初代主任司祭にはヘルマン・ホイヴェルスが就任しました。

改築と現在

1992年、聖堂の老朽化と狭隘化のため改築が計画され、1995年に工事が開始。1998年に第1期工事が完成し、2000年には第2期工事も完了し現在の教会が完成しました。2011年の東日本大震災で鐘楼の十字架が損傷しましたが、翌年に修復されました。

特徴

聖イグナチオ教会は、信徒数で日本最大規模の教会であり、日本語だけでなく、英語、スペイン語、ポルトガル語など多言語でのミサが行われています。日曜日の午後には、東南アジア系の信徒で賑わいます。著名な作家である土居健郎は、再建前の教会を「日本人の美意識にあい、神社の境内のようだった」と評しました。

社会貢献

教会は社会的な課題にも積極的に取り組んでおり、特に自死問題に対しては「聖イグナチオいのちを守るプロジェクト」を立ち上げ、遺族へのメンタルヘルスケアを行っています。2010年には「自死された方々のために捧げる追悼ミサ」を初めて行いました。

上智大学との関係

聖イグナチオ教会は上智学院の組織ではありませんが、入学式や卒業式では記念ミサを捧げています。また、キリスト教関連の書籍がある聖三木図書館は、かつて教会から上智学院、そしてイエズス会に移管されました。教会と上智大学は共にイエズス会と関係が深く、密接な関係を持っていますが、大学内には別途ミサを行うクルトゥルハイム聖堂があります。

アクセス

JR中央線・総武線、東京メトロ丸ノ内線・南北線「四ツ谷駅」下車すぐ。

関連書籍

• - 『聖イグナチオ教会 献堂15年記念写真集』伊藤保著（1964年）
• - 『聖イグナチオ教会 献堂25年記念誌』伊藤保編著（1974年）
• - 『巨きな木の舟 聖イグナチオ教会献堂45周年記念写真集』（1992年）

著名な関係者

• - 加藤一二三: 棋士。教会で結婚式を挙げるカップルに講話を行う。
• - ラモス瑠偉: 元プロサッカー選手。教会で結婚式を挙げ、妻の葬儀も同教会で行われた。

外部リンク

• - 聖イグナチオ教会公式ホームページ
• - カトリック麹町教会 - カトリック東京大司教区
• - 「祈りの場」
• - 自死（自殺）問題と取り組む「聖イグナチオいのちを守るプロジェクト」

もう一度検索