アドヴァンスド・エンジン・リサーチ

アドヴァンスド・エンジン・リサーチ (AER) 社：レーシングエンジンの先駆者

1997年設立のアドヴァンスド・エンジン・リサーチ（AER）社は、イギリス・エセックス州バジルドンに本社を置く、国際的に高い評価を得るレーシングエンジンの製造メーカーです。スポーツカー、プロトタイプ、ラリーカー、ツーリングカー、フォーミュラカーなど、多様なカテゴリーのレースでその名を馳せてきました。

AER社の技術と特徴

AER社の強みは、ロードカー用エンジンをベースに、高度な電子制御式ターボ技術を駆使し、大幅な性能向上を実現する点にあります。既存エンジンの設計を根本から見直し、最適化されたエンジンを提供することで、顧客の勝利に貢献しています。設計、解析、製造、組立、テストまで一貫した体制を構築しており、顧客への技術サポートも万全です。兄弟会社であるLifeRacing社との連携により、ECUやドライブ・バイ・ワイアー・コントローラーなどの電子制御システムも自社開発し、ハードウェアとソフトウェア両面から総合的なサポートを提供しています。設計にはCATIA V5を採用し、社内試作マシンやエンジン試験設備にも投資を惜しみません。

主要製品と実績

AER社は、数々の革新的なレーシングエンジンを開発してきました。代表的なモデルを以下に紹介します。

SR20: 日産SR20エンジンをベースに開発された直列4気筒エンジン。1997年から1999年のイギリスツーリングカー選手権（BTCC）で日産プリメーラに搭載され、数々のタイトルを獲得しました。スウェーデンツーリングカー選手権でも成功を収めています。
P25: 日産VQ35エンジンをベースとした3.5リッターV6エンジン。フォーミュラカーやスポーツカーに使用され、500馬力以上の出力を誇ります。ドライサンプシステム、ピストン、コネクティングロッド、カムシャフトなど、徹底的に改良が加えられています。
P14: 日産VQエンジンをベースとした3.0リッターV6エンジン。FIAスポーツカー選手権のSR2カテゴリーで活躍しました。
P03/P07: AER社初の完全新規設計エンジンであるP03をベースに改良されたP07。2.0リッター直列4気筒ターボエンジンで、ル・マン24時間レースやアメリカン・ル・マン・シリーズ（ALMS）などで活躍し、数々のタイトル獲得に貢献しました。
P32T: LMP1クラス専用の75度V8ツインターボエンジン。3.6リッター（初期）から4.0リッターに排気量アップされ、650馬力以上の出力を実現。ル・マン24時間レースやELMS、ALMSなどで使用されました。軽量化にも成功し、わずか114kgの重量を実現しています。
MZR-R (P41/P70/P90): マツダと共同開発した2.0リッター直列4気筒ターボエンジン。ALMSのLMP2クラスで活躍し、その後P70、P90へと進化を続け、LMP1クラスでもタイトルを獲得しています。インディライツにも採用されています。
MZ-2.0T: マツダと共同開発した2.0リッター直列4気筒ターボエンジン。市販車用エンジンをベースとせず、USCC(ユナイテッド・スポーツカー選手権)向けに開発されました。
P60/P60B: FIA世界耐久選手権（WEC）LMP1クラス用の2.4リッターV6ツインターボエンジン。複数のチームが使用し、ル・マン24時間レースでも活躍しています。

数々のタイトルと栄光

AER製エンジンは、BTCC、ALMS、ル・マン24時間レース、FIAスポーツカー選手権など、数々のレースで輝かしい成績を残しています。マニュファクチャラー、チーム、ドライバーのタイトルを多数獲得し、その信頼性と性能の高さを証明しています。特に、ル・マン24時間レースでの活躍は、AER社の技術力の高さを象徴するものです。

まとめ

AER社は、高度な技術力と豊富な経験を基に、多様なカテゴリーのレースで勝利に貢献するレーシングエンジンを開発・提供し続けています。今後も、革新的な技術開発と顧客へのサポートを通じて、モータースポーツ界をリードしていく存在であり続けるでしょう。

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