アフガニスタン国民議会

アフガニスタン国民議会：歴史と変遷

アフガニスタン国民議会は、かつてアフガニスタン・イスラム共和国に存在した立法府でした。2003年の新憲法に基づき設置され、2021年のカーブル陥落によって事実上解散するまで、同国の政治の中枢を担っていました。

議会構成

国民議会は二院制で、上院に相当する長老議会（メシュラーノ・ジルガ）と、下院に相当する人民議会（ウラスィー・ジルガ、またはシュライ・ナマヤンダガン）から構成されていました。

長老議会: 定数102議席。大統領任命議員、州議会選出議員、郡議会選出議員がそれぞれ3分の1ずつを占め、任期は5年、4年、3年と異なっていました。議長はシブガトゥッラー・ムジャッディディーが務めました。
人民議会: 249議席以下とされ、国民の直接選挙で選ばれた議員で構成。任期は5年で、冬季会期と夏季会期を合わせて年間9か月間活動していました。政府閣僚の承認や不信任決議権など、広範な権限を有していました。議事録は「ジャリアジ・ラスミ＝イエ・ヴルシ・ジルガ」に掲載されていました。

人民議会選挙

人民議会は複数回選挙が行われ、毎回、様々な勢力が議席を獲得しました。第1回（2005年）の選挙結果では、旧アフガニスタン・イスラム協会、旧アフガニスタン・イスラム党など複数の政党が議席を獲得し、また、民族構成もパシュトゥーン人、タジク人、ハザーラ人など多様な民族が参加していました。選挙後には、国家独立会派など複数の会派が形成されました。第2回（2010年）、第3回（2018年）の選挙も実施されましたが、第3回選挙は予定より大幅に遅れて行われました。

歴史

アフガニスタンにおける議会の歴史は古く、ロヤ・ジルガ（大評議会）が重要な役割を果たしてきました。近代的な議会はアマーヌッラー・ハーンの治世（1919-1929年）に設置されましたが、その後、国王の権力が強く、議会の権限は限定されていました。

ザーヒル・シャー国王の治世（1933-1973年）には、新憲法によって自由・普通・秘密・直接選挙が下院に導入され、三権分立の原則も確立されました。しかし、1973年のクーデター後、議会は一時的に消滅します。

アフガニスタン民主共和国時代（1978-1992年）には、初期は議会が存在しませんでしたが、ナジーブッラー政権下で自由化が進み、二院制の議会が復活しました。しかし、ソ連撤退後の内戦により議会は機能しなくなりました。

アフガニスタン・イスラム国時代（1992-1996年）やアフガニスタン・イスラム首長国時代（1996-2001年、2021年-現在）には、議会は設置されていませんでした。

まとめ

アフガニスタン国民議会は、アフガニスタン近代史における政治制度の変遷を反映する存在でした。様々な政治体制の下で、その権限や構成は変遷を続け、最終的には内戦と政情不安の中で事実上解散という結末を迎えました。国民議会の歴史は、アフガニスタンの政治的、社会的な変化を理解する上で重要な鍵となります。

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