アフラシヤブ (サマルカンド)

アフラシヤブ：サマルカンド北部の古代遺跡

アフラシヤブは、ウズベキスタン・サマルカンドの北部、現在のビービー・ハーヌム・モスク付近の丘陵地に位置する古代遺跡です。紀元前500年から紀元後1220年まで都市として存在し、サマルカンド周辺地域における最古の遺跡の一つとして知られています。

概要

アフラシヤブは、防衛上の理由から丘の上に建設され、南は渓谷、北は肥沃な土地に囲まれていました。紀元前7～6世紀頃から人が住み始め、ソグディアナ文化の中心地として栄えました。

その名前の由来は諸説あります。「カラーイェ・アフラーシヤーブ (Qal’a-ye Afrasiyab、アフラシヤブの城) 」という名称が17世紀の資料に見られるほか、シャー・ナーメに登場する英雄アフラースィヤーブとの関連も指摘されています。また、タジク語で「北の境界に位置する黒い河の対岸」を意味する「パルシャーブ (Parsīāb、ソグディアナ語: Paršvāb)」が変形したものであるという説もあります。この説では、「アフラー (Afrā)」はペルシア語で「対岸」を意味する「ファラー (Farā)」の詩における形であり、「シャーブ (シャーハーブ - Sīāhābもしくはシャーブ - Sīāb)」は「黒」を意味する「シャー (sīāh)」と、文脈により水、川、海を意味する「アーブ (Āb)」が合わさったものと考えられています。

アフラシヤブ地域の広さは約220ヘクタール、遺構の深さは約8～12メートルに及びます。考古学的な調査は19世紀末から行われ、1920年代にはミハイル・マッソンによってサーマーン朝の宮殿跡が発見されました。1960～70年代にも調査が行われ、貴重な遺物が多数出土しています。

アフラシヤブ壁画

アフラシヤブの考古遺跡からは、「アフラシヤブ壁画」と呼ばれる美しい壁画が発見されています。これらの壁画は、当時の生活や文化を鮮やかに描き出しており、ソグディアナ美術の傑作として高く評価されています。

関連事項

タシュケント・サマルカンド高速鉄道の車両名「アフラシャブ号 (Afrosiyob)」は、この遺跡の名前から採られています。これは、アフラシヤブがウズベキスタンにとって重要な歴史的・文化的遺産であることを示しています。

まとめ

アフラシヤブは、古代から中世にかけて栄えた都市の遺跡であり、ソグディアナ文化の中心地として重要な役割を果たしました。その遺跡からは、当時の生活や文化を知る上で貴重な遺物が多数出土しており、現在も考古学的な調査が続けられています。アフラシヤブは、ウズベキスタンの歴史と文化を語る上で欠かすことのできない存在です。

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