アルカテル・ルーセント

アルカテル・ルーセントとは

アルカテル・ルーセント（Alcatel-Lucent）は、かつてフランスに本社を置いていた通信システム・装置メーカーです。ユーロネクスト・パリとニューヨーク証券取引所に上場しており、世界規模で通信インフラを提供していました。2006年にアルカテル社とAT&T系のルーセント・テクノロジーが合併して誕生しましたが、2016年にフィンランドのノキアに買収され、ノキアネットワークス社に統合されました。

同社は、通信事業者、プロバイダ、一般企業向けに、固定通信、移動通信、ブロードバンドインターネット接続、アプリケーションなど幅広い分野で事業を展開し、宇宙事業や軍用通信分野にも進出していました。傘下には、著名なベル研究所があり、世界130カ国以上でビジネスを展開するグローバル企業でした。

アルカテル・ルーセントの沿革

アルカテル・ルーセントの歴史は、アルザス地方の先端技術産業にまで遡ります。

1826年：アルザス建設機械（Société Alsacienne de Constructions Mécaniques）が創業。
1898年：ピエール・アザリア（Pierre Azaria）がCGE（Compagnie générale d'électricité）を創業。
1925年：CGEがリヨンケーブル（Compagnie Générale des Câbles de Lyon）を吸収合併。
1928年：アルザス建設機械とフランス・トムソン・ヒューストン（Compagnie française pour l'exploitation des procédés Thomson Houston）が合併し、アルストムが誕生。
1966年：CGEがアルカテル（Société Alsacienne de Constructions Atomiques, de Télécommunications et d'électronique）を吸収。アルカテルは元々ミュルーズの兵器産業でした。
1969年：アルストムがCGEの傘下入り。
1981年：CGEがジェネラル・デ・ゾー（現ヴィヴェンディ）株の15％を取得。
1982年：ジャン・ピエール（Jean-Pierre Brunet）がCGE会長に就任。前会長は金融界で活躍し、後にバークレイズの重役となります。
1984年：BNPパリバに兄弟を持つペブルー（Georges Pébereau）がCGE会長に就任。
1986年：CGEがニューヨークのITT（ITT Inc.）からケロッグ（Kellogg Switchboard & Supply Company）を含む欧州電話事業を買収。CGE民営化のためトップが交代。このCGEがフラマトム（Framatome, 現アレヴァ）へ40％資本参加。
1987年：CGEが民営化。アルストムがTGV Atlantiqueを受注。
1988年：アルストムがゼネラル・エレクトリックと提携。
1989年：CGEの合意を得て、アルストムとゼネラル・エレクトリックの合弁会社（Cegelec）が発足。
1990年：CGEがフィアットの合意を得てイタリアの通信事業（Telettra）を買収。
1991年：CGEがアルカテル＝アルストムと改称。
1992年：アルカテル＝アルストムがダイムラー傘下のAEGケーブル部門（AEG Kabel）を買収。欧州委員会から認可を得るも、ドイツ政府が独自に審査すると抗議。
1993年：アルカテル＝アルストムがノーテルネットワークスの海底ケーブル部門を買収。
1995年：アルカテル＝アルストムで会長が交代。
1998年：アルカテル＝アルストムが社名をアルカテル（Alcatel）に変更。
2000年：アルカテルがニューズ・ブリッジ（Newbridge Networks）、ジェネシス（Genesys）、イノベーティブ・ファイバーズ（Innovative Fibers）を買収。ケーブル事業を子会社化（Nexans）、アバイアをスピンオフ。
2001年：アルカテルがアルストム株を24％売却。Nexansの支配率は20％に。アルカテルは傘下の宇宙事業にタレス・グループが保有していた株式を全て買い取り完全子会社化。以降、アルカテルはタレス株を大量売却。
2002年：アルカテル上海ベル会社を傘下におさめる以外は事業売却を推進。
2004年：アルカテル・モバイルの45％を中国のTCL集団に売却。
2006年：ノーテルから第3世代移動通信システム事業を買収。ルーセント・テクノロジーと合併し、アルカテル・ルーセントとなる。
2007年：トムソン顧問会社を買収
2008年：オランダ軍人・ITTに経歴を持つ新会長（Ben Verwaayen）が就任。
2010年：アルカテル・バキューム・テクノロジーをファイファー・バキューム社へ売却。
2014年：アルカテル・ルーセント・エンタープライズを中国の中国華信郵政開発経済センターに売却。
2015年：フィンランドの通信機器大手ノキアがアルカテル・ルーセントを買収すると発表。
2016年：ノキアの子会社となり、統合。

買収と解雇

ル・モンドアーカイブによると、アルカテル・ルーセントは2012年10月に1430人のフランス従業員を解雇しました。これは、2003年から2013年まで毎年8億ユーロの損失を出していたことが背景にあるとされています。また、29000の特許を保持するためにゴールドマン・サックスとクレディ・スイスから20億ユーロの融資を受けざるを得ませんでした。保持されていた特許は50億ユーロと見積もられており、その売却の可能性が政府を脅かしていました。

主要製品

アルカテル・ルーセントは、以下のような主要製品を提供していました。

通信インフラ機器
固定通信および移動通信向けブロードバンドソリューション
ネットワークアプリケーション
宇宙事業および軍用通信システム

脚注

[参考資料]

Alcatel-Lucent
日本アルカテル・ルーセント株式会社
* Explore Alcatel-Lucent's History (ノキアHPより)

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