TCL集団

TCL科技集団（TCLテクノロジー・グループ）とは

TCL科技集団（TCL Technology Group Co., Ltd.）は、中国広東省恵州市に本社を置く、世界的な電気機器メーカーです。テレビ、ディスプレイパネル、スマートフォン、パーソナルコンピュータ、家電製品、照明など、幅広い製品の製造・販売を手がけています。中国国内はもとより、世界中で事業を展開し、深圳証券取引所に上場しています。

特にテレビ用パネル分野では、世界シェア第2位、55インチと75インチのパネルでは世界首位を誇り、業界をリードする存在となっています。

創業と成長

TCLの歴史は1981年、5000元の融資を受け、恵陽区電子工業公司と香港企業の合弁で設立されたTKK家庭電器有限公司に始まります。当初は磁気テープの製造・販売からスタートしました。その後、1989年には電話機の生産販売量で中国国内1位を達成。

1990年代に入ると、TCLは驚異的な成長を遂げ、過去12年で年平均42.65%という急成長を記録し、中国で最も成長が早い企業の一つとなりました。1992年には「王牌」ブランドの大型カラーテレビを開発し、市場で広く認められました。翌1993年には、TCL通訊設備股份有限公司が深圳証券取引所に上場を果たします。1996年には香港の陸氏公司のカラーテレビ事業を買収し、国有企業による香港企業の買収という初の事例となり、「王牌」テレビは国内トップ3ブランドに名を連ねました。

1997年には、国有企業が政府から経営権を授与される先駆けとして、TCL集団公司が設立されました。1999年には携帯電話事業に進出し、TCL国際控股有限公司（後のTCL多媒体科技控股有限公司）が香港で上場。ベトナムにも進出しています。2002年にはTCL集団股份有限公司が登録され、携帯電話事業は大成功を収め、販売台数は600万台を突破しました。

2003年に上場は失敗に終わりますが、同年の収益は282億元（約35億ドル）、利益は5.7億元（約7000万ドル）に達しました。そして、2004年1月、TCL集団は念願の上場を果たしました。

世界最大のテレビメーカーへ

2004年、TCLはフランスのトムソンと共同でTCL-トムソン電子有限公司（TTE）を設立し、トムソンの登録商標であるRCAを取得しました。これにより、TCLは世界最大のテレビ製造業者へと躍進しました。また、松下電器やインテルなど、世界中の大手企業と提携し、高度な技術を積極的に取り入れ、大手メーカーとしての地位を確立しました。

2004年8月には、アルカテル・ルーセントと共同で携帯電話事業会社（TCL & Alcatel Mobile Phones Limited (TAMP)）を設立しましたが、2005年5月にはTCLがTAMPの全株式を取得する契約を結び、TCLの100%出資となりました。

しかし、2004年頃から中国国内での価格競争や薄型テレビへのシフトの遅れ、株価の30%下落などの課題に直面しました。また、トムソンはTCLの競合である康佳グループの株式を取得し、市場を驚かせました。その後、フィリップス中国現地法人がTCLの株式の7%を購入し、株主上位に名を連ねました。

2006年初めには、TCLは世界10カ国に本社を設置し、ベトナム、インド、ドイツへ進出しました。2011年12月期の決算では、純利益が前年比2.3倍の10億1300万元（約130億円）を記録しています。

2013年には、ハリウッドの名所であるグローマンズ・チャイニーズ・シアターの命名権を獲得し、TCL・チャイニーズ・シアターに改称しました。2023年6月には、北京オリンピック女子シングルフィギュアスケート金メダリストのアンナ・シェルバコアが、ロシアでのブランドアンバサダーに就任しました。

日本への進出

2014年、TCLはメキシコにある三洋電機の液晶テレビ工場を買収し、ウォルマート向けの液晶テレビ生産を継続しました。2015年1月には、ヒューレット・パッカードの子会社パームを買収し、同年9月3日には日本法人株式会社TCL JAPAN ELECTRONICSを設立しました。2016年12月には、BlackBerryのブランドと製造権の長期ライセンス契約を結んでいます。

2019年の売上高は107億米ドル、営業利益は20億3200万米ドル、純利益は5億2200万米ドル、総資産は235億4900万米ドルに達しました。

2020年には、ソニー・パナソニックの統合事業JOLEDと資本業務提携契約を締結し、テレビ向け大型有機ELディスプレイの共同開発を開始しました。また、同年8月には、江蘇省蘇州市にあるサムスンディスプレイの第8.5世代のパネル工場を買収しました。

TCLは日本国内の薄型テレビ市場でも目覚ましい進出を遂げており、2021年7月には国内テレビシェアランキングで6位にランクインしました。その後、ソニーとパナソニックがシェアを落とす中、2022年3月にはTVS REGZA、シャープ、ハイセンスと中国企業が上位を占めるようになり、TCLもその勢いを加速させています。

TCLが保有する第8.5世代以上の大型パネル生産ラインは、2020年末の3本から2021年6月末には4.5本に増加しました。2021年1～6月期の決算では、売上高は前年比2.5倍の743億元、純利益は同5.6倍の68億元となり、上半期だけで2020年の通期実績を上回る結果となりました。子会社のTCL華星光電技術（CSOT）によるディスプレイパネル事業も、売上高が前年同期の2倍以上に拡大しました。

2021年12月期の決算では、純利益が前年比2.3倍の100億5744万元（約2005億円）、売上高が2.1倍の1635億4055万元（約32554億円）を記録し、液晶パネルの生産能力シェアは世界第2位の約13.8％に達しました。

2025年までに第8.6世代大型パネルの生産ラインを6本稼働させる計画です。

主要生産品目

日本向け製品としては、以下のような製品が展開されています。

スマートフォン

ALCATEL ONETOUCH IDOL 2 S
ALCATEL ONETOUCH IDOL 3
Alcatel IDOL 4
Alcatel SHINE LITE
Alcatel PIXI 4
TCL PLEX

テレビ

X10 シリーズ
C8 シリーズ
P8 シリーズ
C60 シリーズ
K60 シリーズ
P60 シリーズ

関連会社

TCLグループは、多数の関連会社を通じて、幅広い事業を展開しています。

TCL-トムソン電子有限公司（TTE）
TTE中国業務中心
TCL電器銷售有限公司
広州数碼楽華科技有限公司
TCL通信科技控股有限公司（TCT）
TCL移動通信有限公司
TCL-アルカテル移動電話有限公司
数碼電子事業本部
TCL電脳科技有限公司
翰林匯軟件産業股份有限公司
電大在線遠程教育技術有限公司
家用電気事業本部
TCL白家電事業部
TCL空調事業部
TCL小家電事業部
TCL瑞智（恵州）製冷設備有限公司
電気事業本部
TCL国際電工事業部
TCL照明電器事業部
TCL工業電器事業部
TCL樓宇科技事業部
TTE新興市場業務中心
ベトナム分公司
フィリピン分公司
ロシア分公司
部品事業本部
升華工業有限公司
TCL金能電池有限公司
TCL顕示科技（恵州）有限公司
恵州TCL王牌高頻電子有限公司
深圳市愛思科微電子有限公司
恵州TTK家庭電器有限公司
TTE戦略OEM業務中心
TV業務中心
AV業務中心
その他企業
TCL文化発展有限公司
深圳市TCL投資有限公司
TCL通訊設備（恵州）有限公司
TCL網絡設備有限公司
楽金電子（恵州）有限公司
高威達数碼科技有限公司
TCL多媒体科技控股有限公司（ティーシーエルマルチメディア・テクノロジー・ホールディングス）

バックドア疑惑

2020年12月、アメリカ国土安全保障省のウルフ長官代行は、TCL製品に利用者の情報を抜き取ることができる「バックドア」が設置されていたと指摘しました。これは独立系研究者によって発見された脆弱性で、TCLは脆弱性を予告せず、ユーザーの同意なしに修正したことも明らかになっています。

テレビ番組

TCLの東南アジア戦略に関する番組が、テレビ東京「日経スペシャル ガイアの夜明け」で放送されました。

日経スペシャル ガイアの夜明け 東南アジアに進路を取れ ～日本VS中国！急成長ASEAN争奪戦～（2005年10月4日、テレビ東京）

脚注

[脚注の内容は省略]

関連項目

中国の同業他社

Vivo
OPPO
OnePlus
Xiaomi
ZTE
ハイセンス
ファーウェイ
レノボ

TCLジャパン関連

横浜DeNAベイスターズ（プロ野球球団） ※2021年シーズンのオフィシャルスポンサー。
紀平梨花（フィギュアスケート選手） ※2022年度のブランド広告アンバサダー。
堂安律（サッカー日本代表、ドイツ・SCフライブルク所属） ※2023年度のブランド広告アンバサダー。

外部リンク

TCLジャパン
TCL USA
TCL Europe

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