アルカリ岩

アルカリ岩：アルカリに富む火成岩のグループ

アルカリ岩は、その名の通りアルカリ成分（ナトリウムやカリウム）を豊富に含む火成岩の総称です。具体的には、アルカリ玄武岩を代表とするマフィック岩（苦鉄質岩）から中性岩、そしてフェルシック岩（酸性岩）まで、幅広い種類の岩石を含みます。これらの岩石は、化学組成や鉱物組成において共通の特徴を有しており、地球科学において重要な研究対象となっています。

アルカリ岩の分類：歴史と現代

アルカリ岩の分類は、19世紀後半から盛んに行われてきました。初期の分類では、化学組成、特にSiO2（二酸化ケイ素）、Al2O3（酸化アルミニウム）、Na2O（酸化ナトリウム）、K2O（酸化カリウム）の比率に基づいて、アルカリ岩と非アルカリ岩を区別する試みがなされました。有名な例としては、1892年にイディングズ（J. P. Iddings）が提案した分類法があります。これは、Na2O＋K2Oの含有量が多い岩石をアルカリ岩と定義するものでした。また、1933年にはケネディが、ノルムとソレアイトという分類基準を提案しています。

現代の岩石学では、研究の進歩に伴い、アルカリ岩の分類はより精緻化されています。現在では、地球内部のマントルの組成や、マグマが生成される過程の違いに着目した分類が用いられることが多くなっています。マントル物質の違いによって生成されるマグマの性質が異なり、それがアルカリ岩と非アルカリ岩の形成に繋がるのです。具体的には、マントルにおける部分溶融の度合い、脱水反応の有無、そしてマグマの進化過程などが、アルカリ岩の化学組成に大きな影響を与えます。

代表的なアルカリ岩火山

アルカリ岩は、世界各地の火山地域で産出しますが、特にアルカリ岩を噴出する火山として知られている地域があります。メキシコのミショアカン・グアナファト火山帯や、カルク火山などは、アルカリ岩の噴出によって形成された代表的な火山として挙げられます。これらの火山では、独特の化学組成を持つアルカリ玄武岩や、それに関連する岩石が豊富に観察されます。

アルカリ岩の研究：地球内部の解明に向けて

アルカリ岩の研究は、地球内部のダイナミクスを理解する上で非常に重要です。アルカリ岩の化学組成や鉱物組成を分析することで、マントルの組成、マグマの生成過程、そして地殻の進化などを推定することが可能になります。また、アルカリ岩の研究は、鉱床学、地球化学、そして地球物理学など、様々な分野に貢献しています。これらの研究を通じて、地球内部の構造や進化の過程をより深く理解することが期待されています。

参考文献

都城秋穂・久城育夫　『岩石学II - 岩石の性質と分類』　共立出版〈共立全書〉、1975年
黒田吉益・諏訪兼位　『偏光顕微鏡と岩石鉱物 第2版』　共立出版、1983年

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