アルバート・ワトソン2世

アルバート・ワトソン2世

アルバート・ワトソン2世（Albert Watson II、1909年1月5日 - 1993年3月14日）は、アメリカ陸軍の軍人であり、最終階級は陸軍中将です。太平洋戦争では沖縄戦に参加し、戦後はベルリン地区司令官として東西ドイツ間の外交交渉に尽力しました。その後、琉球列島高等弁務官として沖縄の自治権拡大に努めましたが、アメリカの施政権下にある沖縄の重要性を訴えました。

人物

ワトソンは1909年1月5日にイリノイ州マウントバーノンで生まれました。父親は陸軍大佐、祖父はイリノイ州最高裁判所の裁判官という家系でした。彼は生涯を通じて米国聖公会の信者であり続けました。

結婚相手はアン・ダンラップ・ブッチャーで、2人の息子、アルバート・ワトソン3世とジョン・B・ワトソンがいます。息子たちはペンシルベニア州の軍学校に進学しました。ドイツ駐留経験からドイツ語に堪能で、テニスやゴルフを趣味としていました。ベルリンの新聞によると、馬術、コントラクトブリッジ、オペレッタ鑑賞、ミステリー小説も好んでいたとされています。シラキューズ大学の収蔵研究センターには、彼の手記が保管されています。

軍歴

ワトソンは1934年から1935年にかけて野戦砲兵学校で学び、アメリカ陸軍戦争大学校を卒業後、同大学の教員として軍事戦略、戦術、地政学を教えました。第二次世界大戦では、ホーランジアの戦い、レイテ島の戦い、沖縄戦に参加しました。主にニューギニア島で第10軍に所属し、その後、陸軍参謀部の人事担当参謀次長に就任しました。朝鮮戦争にも参戦しています。

1963年から1964年まで第3軍の司令官を務め、西ドイツに駐留する2つの歩兵師団を指揮しました。退役時に中将に昇進しました。

ベルリン地区司令官

1961年5月5日から1963年1月2日まで、ワトソンは少将としてアメリカ軍のベルリン地区司令官を務めました。彼は外交面では駐西ドイツ大使のウォルター・ダウリング、軍事面では欧州連合軍最高司令官のローリス・ノースタッドの指示を受け、アメリカ国務省とも直接連携を取りました。この任務中に1つ目の殊勲章を受章しました。

ベルリンの壁建設が始まった際、ワトソンはこれを挑発的な行為とみなし、西ベルリンの飛び地であるシュタインシュテュケンに駐屯地を設置し、ベルリンの壁付近をヘリコプターで常時監視しました。初期には戦車の配備も行いました。

東ベルリンのソビエト司令官アンドレイ・ソルビエフとの面会がキャンセルされるという外交的事件も発生しました。ワトソンの補佐官らが乗った陸軍の公式車両が、東ドイツ国境警備隊に入国を拒否されたことが原因です。ワトソンはこれに抗議し、ソルビエフとの会談を取り消しました。また、西ドイツの若者が東ドイツのバスに投石した事件を巡り、ソ連高官がワトソンとの面会を辞退するなど、外交問題が続きました。さらに、東ドイツの警備隊に射殺されたペーター・フェヒター事件の処理と、その後の民衆の暴動鎮圧にもあたりました。

琉球列島高等弁務官

1964年8月1日、ワトソンは琉球列島高等弁務官に就任しました。国務省は当初、チャールズ・H・ボーンスティール3世を任命する予定でしたが、視力低下によりワトソンが代わりに任命されました。1965年8月には、日本の内閣総理大臣である佐藤栄作を迎え、日本の首相と会談した最初の高等弁務官となりました。ワトソンは沖縄に対する大幅な援助を日本に認めさせ、アメリカ軍と琉球立法院の良好な関係を築こうとしました。また、自治権拡大と日本との関係強化に努め、琉球諸島の住民に柔軟に対応しました。しかし、アメリカが持つ沖縄の施政権の放棄は拒否しました。これは、当時のアメリカ軍の機動力低下と、それが国家安全保障を脅かす危険性を懸念したためだと考えられます。

前任者に引き続き、ワトソンと当時の駐日アメリカ合衆国大使エドウィン・O・ライシャワーとの関係は悪化しました。互いを告訴するなど、両者の関係は最後まで改善されませんでした。ワトソンは任期終了間際に2つ目の殊勲章を受章しました。

関連項目

アメリカ合衆国による沖縄統治
琉球列島米国民政府

外部リンク

* 琉球文化アーカイブ USCAR収録写真集 アルバート・ワトソン2世中将 - 沖縄県公文書館

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