アルファロメオ・33 ストラダーレ

アルファロメオ 33 ストラダーレ：伝説のスポーツカーの歴史

アルファロメオ 33 ストラダーレは、イタリアの自動車メーカー、アルファロメオが製造した、名実ともに伝説的なスポーツカーです。その歴史は、1960年代後半に誕生した初代モデルと、2023年に発表された最新の2代目モデルの2つの時代に分けることができます。

初代33 ストラダーレ（1967年-1969年）：レーシングスピリットの結晶

初代33 ストラダーレは、アルファロメオのレーシングカー「ティーポ33」の技術を惜しみなく投入して開発されました。「ストラダーレ」はイタリア語で「道路」を意味し、公道走行可能なことを示しています。レーシングカー開発の費用を賄う目的で製造されたこの車は、その希少性と圧倒的な性能から、コレクターアイテムとして高い人気を誇ります。

シャシーはティーポ33/2をベースに、ホイールベースを延長し、運転席周りの補強など、市販車としての改良が加えられました。特筆すべきは、バタフライドアを採用した最初のロードカーであった点です。この斬新なデザインは、今もなお人々を魅了し続けています。

心臓部には、アウトデルタのカルロ・キティが設計した、1,995ccのV型8気筒DOHC自然吸気エンジンを搭載。最高出力は227馬力（市販車は230馬力）、最高速度は時速約260kmに達しました。その圧倒的なパワーと軽快なハンドリングは、まさにレーシングカー譲りのものでした。トランスミッションはバレリオ・コロッティ製の6速マニュアル。0-97km/h加速は6秒未満という、当時のスポーツカーとしては驚異的な性能を誇っていました。

製造されたのはわずか18台のシャシーで、実際にボディが取り付けられ販売されたのは12台程度と言われています。残りのシャシーは、後述するコンセプトカーの製作に使用されました。デザインはフランコ・スカリオーネが担当し、製造はカロッツェリア・マラッツィが手掛けました。プロトタイプと市販車では、ヘッドライトやフェンダーなど、細部に違いが見られます。

コンセプトカーへの発展：デザインの革新

販売されずに残った33 ストラダーレのシャシーは、アルファロメオの革新的なコンセプトカーの開発に役立てられました。代表的なモデルとしては、マルチェロ・ガンディーニがデザインし、ベルトーネが製作した「カラボ」、ピニンファリーナが手掛けた「P33 ロードスター」や「33/2 クーペ・スペチアーレ」、イタルデザインの「イグアナ」、「アルファロメオ 33 ピニンファリーナ クネオ」、「ナバホ」などがあります。これらのコンセプトカーは、後のアルファロメオのデザインに大きな影響を与えました。

2代目33 ストラダーレ（2023年-）：伝統と革新の融合

2023年、アルファロメオは満を持して2代目33 ストラダーレを発表しました。初代モデルから50年以上を経ての復活です。33台限定生産という希少性に加え、約300万ユーロ（日本円で約4億7,500万円）という驚異的な価格にもかかわらず、発表後数週間で完売したとのことです。

エクステリアデザインは、初代モデルを彷彿とさせる楕円形のヘッドライトやバタフライドア、独特のテールライトなど、伝統を継承しつつ、現代的な解釈を加えています。パワートレインには、2.9L V6エンジンをベースに改良を加えた3.0L V6エンジン（620馬力）と、アルファロメオ初となる3基のモーターを搭載したEVパワートレイン（750馬力）の2種類が用意され、購入者はどちらかを選択できます。最高速度は333km/h、0-100km/h加速は3秒以下と、驚異的な性能を誇ります。開発にはF1ドライバーのバルテリ・ボッタスも参加しました。

モノコックはカーボンファイバー製、Hフレームはアルミニウム製、バタフライドアのフレームもカーボンファイバー製と、軽量化と高剛性を両立した設計となっています。リアウインドウにはポリカーボネートが使用されています。製造はカロッツェリア・トゥーリング・スーパーレジェーラが担当し、インテリアや装飾などは購入者の希望に応じてカスタマイズ可能です。車両識別番号（VIN）の下8桁も自由に選択できるという、まさに究極のパーソナライゼーションが実現されています。

アルファロメオ 33 ストラダーレは、単なるスポーツカーではなく、イタリアの自動車産業の歴史、そして技術力の粋を集めた、まさに芸術作品と言えるでしょう。その希少性と圧倒的な性能から、今後も多くのコレクターや自動車愛好家を魅了し続けることでしょう。

もう一度検索