カルロ・キティ

カルロ・キティ：イタリアが生んだモータースポーツ界の巨匠

カルロ・キティ (1924年12月19日 - 1994年7月7日) は、イタリアを代表するレーシングカーとエンジンの設計者として知られています。その類まれな才能と技術は、アルファロメオ、フェラーリ、ブラバムといった名門チームに多大な貢献を果たし、モータースポーツ史に輝く足跡を残しました。

フェラーリ時代：シャークノーズの設計者

ピサ大学で航空工学の学位を取得後、アルファロメオに入社したキティは、同社のレース部門閉鎖後、フェラーリへ移籍。1961年、フィル・ヒルがドライブした「シャークノーズ」の愛称で知られる156F1の設計に携わり、ドライバーズチャンピオン獲得に貢献しました。革新的なデザインと高い性能を両立させたこのマシンは、フェラーリの黄金時代を象徴するモデルの一つとなっています。

アウトデルタ時代：Tipo 33とV8エンジンの成功

その後、フェラーリを離れてATSに参加したものの、短期間でチームは解散。1963年、キティはアウトデルタという新たなプロジェクトに参加することになります。ここでは旧友であるアルファロメオとの関係を再構築し、Tipo 33のためにV8エンジン、そしてフラット12気筒エンジンを設計。これらのエンジンは高い信頼性と性能で知られ、1975年にはメイクスチャンピオンを獲得するなど大きな成功を収めました。この時代の功績は、キティのエンジニアとしての才能を決定づけるものとなりました。

ブラバム・アルファロメオ時代：グラウンド・エフェクトとV12エンジンの挑戦

アルファロメオと提携したブラバムチームでは、再びF1の世界に足を踏み入れます。1978年には、アルファロメオエンジンを搭載したBT46で2勝を挙げ、再びその設計技術の高さを証明しました。ブラバムのデザイナー、ゴードン・マレーとの協働により、グラウンド・エフェクトを生み出すためのV12エンジンの開発に着手。しかし、1979年シーズン以降、アウトデルタがアルファロメオに代わりF1車両開発を許可されることとなり、ブラバムとのパートナーシップは解消。アルファロメオのF1プロジェクトは残念ながら成功を収めることはありませんでした。このプロジェクトは、キティにとって大きな挑戦であり、同時にF1におけるチーム運営の難しさも経験した期間となりました。

モトーリ・モデルニ時代：ターボから自然吸気へ

1984年、キティはアウトデルタを離れ、モトーリ・モデルニ社を設立。F1用エンジンの製造に専念することになります。当初はV6ターボエンジンを開発し、ミナルディチームに供給。その後、F1におけるターボエンジン規制の変更に伴い、3.5Lフラット12気筒エンジンを開発。1990年にはコローニチームに供給されましたが、重量過多により期待した成果を得られず、シーズン途中でコスワースエンジンに変更されました。この経験は、技術革新と時代の変化への対応の難しさを改めて示すものとなりました。

ケーニグセグへの技術遺産

1994年に他界したキティでしたが、その技術はその後も受け継がれ、没後5年後の1999年には、スウェーデンのスーパーカーメーカー、ケーニグセグがキティが残したF1用4.0L水平対向12気筒エンジンの設計図と工作機械、特許を買い取りました。このエンジンは、ケーニグセグ・CCのスペシャルバージョン「B12S」に搭載され、キティの技術が再び日の目を見ることとなりました。

まとめ：伝説のエンジニア

カルロ・キティは、類まれな才能と情熱、そして常に技術革新を求める姿勢で、モータースポーツ界に大きな足跡を残しました。彼の設計したエンジンは数々の勝利を収め、多くのドライバーたちに感動を与え、その功績は現在も語り継がれています。彼の技術は、時代を超えて、後世のエンジニアたちに多大な影響を与え続けています。

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