精霊戦士スプリガン

精霊戦士スプリガン

『精霊戦士スプリガン』（Seirei Senshi Spriggan）は、1991年7月12日に日本のナグザットからPCエンジンCD-ROM2向けに発売された縦スクロールシューティングゲームです。開発は多数のシューティングゲームで知られるコンパイルが手掛け、同年のイベント「サマーカーニバル'91」の公認ソフトとしてもリリースされました。

ゲームシステムと物語

ゲームの舞台は、精霊たちが暮らす平和な国家「シースフェル」。プレイヤーは、精霊甲兵の中でも伝説の戦士とされる「スプリガン」として、突如として侵略を開始した軍事国家ブライズバラ帝国の野望を阻止するために立ち上がります。この戦いの目的は、帝国軍を退け、世界の平和を取り戻すことにあります。

本作の最大の特色は、パワーアップシステムにあります。フィールド上には火、水、風、土の4つの属性を持つ「精霊球」が出現し、これらを取得することで自機のショット性能が変化します。最大3つまで精霊球を装備可能で、新しい精霊球を取得すると最も古いものが破棄される仕組みです。特に画期的なのは、精霊球を取得した「順番」によってショットの特性が多彩に変化する点です。同じ属性の精霊球でも、最初に取ったのか、二番目か、三番目かで異なる攻撃パターンが生まれます。また、装備している精霊球を消費することで、強力なボンバー攻撃として使用することもできます。

開発背景とPCエンジンCD-ROM2の特徴

本作は、元々コンパイルの看板シューティングシリーズである『アレスタ』の流れを汲む作品として企画されました。開発中の仮称は『精霊戦士アレスタ』であり、その後『魔導戦士スプリガン』を経て、最終的に『精霊戦士スプリガン』というタイトルに決定した経緯があります。こうした開発の過程から、『アレスタシリーズ』や、コンパイルがPCエンジン向けに開発した他の縦スクロールシューティングゲームと、システムや世界観、設定において共通点が見られます。

また、本作はPCエンジンCD-ROM2の特性を活かした演出を取り入れています。当時のゲームとしては珍しく、ゲーム中の重要な場面で著名な声優によるキャラクターボイスが付いたビジュアルデモが挿入され、物語への没入感を高めていました。登場人物には主人公ジェガ（声：堀川亮）、リカート（声：鶴ひろみ）、隊長（声：郷里大輔）、ブライズバラ王（声：家弓正家）などがいます。

開発チームには、プロデューサーとして『ザナック』や『アレスタシリーズ』を生み出した仁井谷正充氏、企画およびビジュアル・コンセプターとしてPCエンジン版『ガンヘッド』を手掛けた中嶋和之氏が参加しています。音楽は、『エイリアンクラッシュ』の迫田敏明氏、『ガンヘッド』の竹内啓史氏、『ぷよぷよ』の長尾亮利氏、そして後に『スーパーアレスタ』を担当する田中勝己氏らが手掛け、ゲームを彩っています。

評価と後世への影響

発売当時のゲーム誌レビューでは、様々な評価が寄せられました。『ファミコン通信』のクロスレビューでは40点満点中25点となり、難易度については一定の評価があったものの、特定の攻撃性能については否定的な意見も見られました。レビュアーからは、本作がハイエンドユーザーを意識した作りであるとの指摘もありました。一方で、『月刊PCエンジン』では平均91点（100点満点）、『マル勝PCエンジン』では30点（40点満点）と比較的高い評価を得ています。『PC Engine FAN』の読者投票「ゲーム通信簿」では30点満点中21.48点となり、1993年時点のPCエンジン全ソフト中では203位にランクインしています。

後年、ゲーム本『懐かしゲーム機大百科 PCエンジン完全ガイド 1987-1999』では、精霊球によるショット変化システムの面白さや、派手な演出と爽快感が特に称賛され、PCエンジンのシューティングゲームの中でも『ファイナルソルジャー』と並ぶ「名作」として絶賛される評価を受けました。

移植と復刻

本作は、その名作シューティングとしての評価を受け、後年に複数回移植されています。2008年には、任天堂のWii向けにバーチャルコンソールで配信が開始され、多くのプレイヤーが手軽に楽しめる機会が提供されました。さらに、2020年に発売された復刻ゲーム機「PCエンジン mini」にも本作が収録され、再び注目を集めました。

『精霊戦士スプリガン』は、精霊球システムという独特のパワーアップ方式と、CD-ROM2の特性を活かした演出、そしてコンパイルらしい熱いゲーム性によって、PCエンジンを代表する縦スクロールシューティングゲームの一つとして現在も語り継がれています。続編として『スプリガン mark2』（コンパイル開発）や『スプリガン・パワード』（ナグザット開発）も制作されました。

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