アンザック級
フリゲートは、
オーストラリア海軍と
ニュージーランド海軍によって採用されている汎用
フリゲートです。この艦級は、
ドイツのMEKO 200型
フリゲートの設計を基にしており、
オーストラリアに8隻、
ニュージーランドに2隻が建造されました。特に
オーストラリア艦は、バトル級や
デアリング級駆逐艦の老朽化を受けて、更新が必要だった時期に設計されました。
1. 背景と来歴
アンザック級が誕生する背景には、
1960年代から70年代にかけて運用されていたロスシー級およびリアンダー級艦の老朽化がありました。
オーストラリア海軍では、更新を模索する中で、1986年のDibb Reportに基づき、新たに哨戒
フリゲートの導入が提案されました。この提案により、多数の設計案からMEKO 200型が選定され、1989年に建造契約が締結されました。
ニュージーランド海軍も同様の理由から艦艇の更新を計画し、両国は共同で艦の設計・建造を進めることとなりました。最終的には、
ニュージーランド向けの艦は2隻のみが建造されることとなりました。
2. 設計と技術的特徴
本級はMEKO 200の設計を踏襲しつつも、
ステルス性や耐障害性に重点が置かれています。
フィンスタビライザーを搭載し、安定性を高める工夫もされています。最初は
ディーゼルエンジンと
ガスタービンエンジンを組み合わせた
CODOG方式で、最大速力は31.75ノットとされていましたが、コスト削減のため、
ガスタービンエンジンは廃止され、全速力は18ノットとなりました。
また、アンザック級は、燃料搭載量が423トンと多く、
航続距離を稼ぐことができるため、長期の任務に対応できる設計になっています。
電源供給は、シーメンス社製の
ディーゼルエンジンを原動機とする
発電機4基によって担われています。
3. 装備
アンザック級は、C4ISR(指揮・統制・通信・コンピュータ・情報・偵察)システムを初め、先進的な
戦術情報処理装置や各種
レーダーシステムを搭載しています。また、2010年からのSEA 1448改修により、対艦ミサイル防御能力の向上が図られました。これには、Mk.41
VLSが含まれ、シースパローから
ESSMへの更新も行われました。
艦砲は、Mk.45 5インチ単装砲が装備されており、
オーストラリア艦ではシステムの簡素化と費用削減のため
CIWSは省かれていますが、必要に応じて装備する余地は残されています。
対潜兵器としては、324mmの魚雷発射管が設置されており、複数の戦術的役割を果たすことができます。
4. 運用史
アンザック級
フリゲートは、2018年から中期能力保証プログラム(AMCAP)の改修作業が進められ、各艦の近代化が図られてきました。2024年には、一部の艦が退役される計画も発表されており、その後継艦には日本の
もがみ型護衛艦や
ドイツのMEKO A-200型の
フリゲートが候補として挙がっています。
このように、アンザック級
フリゲートは、
オーストラリアと
ニュージーランドにとって重要な艦艇として運用されてきた背景を持ち、現在も主要な海軍戦力として機能し続けています。