アントニオ・セルメニョ

アントニオ・セルメニョ

アントニオ・セルメニョ（Antonio Cermeño、1969年3月6日 - 2014年2月25日）は、ベネズエラ共和国カウカグアに生まれた傑出したプロボクサーです。輝かしいキャリアの中で、世界ボクシング協会（WBA）の世界王座を二つの異なる階級で獲得し、その名を歴史に刻みました。生涯戦績は52戦を戦い抜き、45回の勝利（うち31回がノックアウトによるもの）と7回の敗北を記録しています。

キャリアの頂点

セルメニョは、特にWBAの世界スーパーバンタム級およびフェザー級での活躍で知られています。彼のキャリアにおける重要な転機は、1995年5月に訪れました。この時、WBA世界スーパーバンタム級タイトルマッチにおいて、当時の王者ウィルフレド・バスケスとの激戦を制し、判定勝利で見事に新チャンピオンの座に就きました。

スーパーバンタム級王者としての彼の時代は、数々の防衛戦によって彩られました。1996年3月には、同級タイトルマッチでヨベル・オルテガを判定で破り、王座を守りました。さらに、日本のボクサーである葛西裕一との対戦も特筆されます。1996年12月の対戦では判定勝ちを収めましたが、翌1997年7月の再戦ではTKO勝利という形で決着をつけ、その強さを示しました。セルメニョはこの階級で合計7度にわたる防衛に成功した後、王座を返上しました。

続くキャリアの中で、彼は階級を上げてWBA世界フェザー級王座を目指しました。1998年4月に行われた同級の王者決定戦でフレディ・ノーウッドと対戦しましたが、この時は判定負けを喫し、タイトル獲得はなりませんでした。しかし、彼は諦めることなく挑戦を続け、同年10月には再びチャンスを掴み、WBA世界フェザー級王座を獲得。これにより、スーパーバンタム級に続く2階級制覇を達成しました。しかし、翌1999年5月、再びフレディー・ノーウッドと対戦し、判定負けで王座を失いました。

その後も彼のキャリアは続き、1999年10月にはWBA世界スーパーバンタム級の暫定王者決定戦で再びヨベル・オルテガと拳を交え、判定勝ちを収めて暫定王座を獲得しています。

キャリアの終焉と引退

プロボクサーとしての彼の最後のリングは、2006年のサントス・ベナヴィデス戦でした。この試合を最後に、セルメニョは長きにわたるプロボクシングキャリアに終止符を打ち、現役を引退しました。

スポーツ活動家として

リング上での活躍に加え、セルメニョは社会貢献活動にも熱心でした。彼は、ペタレとウィンドワードといった地域に拠点を置く「カンタロンセルメニョ、麻薬ノックアウト」財団を設立し、スポーツを通じて若者の育成や薬物問題への啓発活動に尽力しました。これは、彼の祖国ベネズエラにおけるスポーツ活動家としての側面を示しています。

悲劇的な最期

引退後の2014年2月24日、アントニオ・セルメニョはベネズエラ国内で誘拐されるという悲劇に見舞われました。翌2月25日、彼は遺体となって発見されました。享年44歳。偉大なボクサーの突然の、そして痛ましい死は、多くの人々に衝撃を与えました。彼のボクシングにおける功績と、社会に対する貢献は、今なお多くの人々の記憶に残っています。

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