アンフィサ

アンフィサ：古代から現代まで続くギリシャの歴史都市

アンフィサは、ギリシャ共和国中央ギリシャ地方フォキダ県にある都市であり、同県の県都でもあります。デルフィ市の一部を構成し、その中心地区として機能しています。古代ギリシャ語ではアムピッサと呼ばれ、中世にはサロナとして知られていました。この記事では、アンフィサの名称の由来から、地理、古代から現代までの歴史、そして人口推移まで、詳細に解説します。

名称の由来

アンフィサ（アムピッサ）の名称は、古代ギリシャ語の動詞「αμφιέννυμι (amfiennymi) 」、つまり「囲む」に由来するとされています。これは、アンフィサがジオナ山とパルナッソス山に囲まれた地理的特徴によるものです。一方、ギリシャ神話では、マカレオスの娘アムピッサ（アイオロスの妻、アポロンの愛人）の名前に由来するという説もあります。13世紀以降はサロナとして知られるようになり、その語源については複数の説が存在します。地震の多い土地柄から「σάλος (salos)」（揺れる）から来ているという説、テッサロニキから名付けられたという説、そして「εσάλωνα (esalona)」（脱穀所）の誤記だという説などです。近代ギリシャ独立後の1833年に、サロナからアンフィサの名が復活しました。

地理

アンフィサはデルフィ市の南部に位置し、古代デルポイ遺跡の近く、デルフィ集落の東北約11kmに位置しています。ラミアからは南へ約47km、ナフパクトスからは東北東へ約50km、ティーヴァからは西北西へ約85kmの距離にあります。クリッサエア平原の北端に位置し、ジオナ山とパルナッソス山の間に広がる農地が多い地域です。森林に囲まれた町であり、西のリドリキとはGR-27およびGR-48によって結ばれています。

歴史

古代

アムピッサは、古代ギリシャのロクリア人（西ロクリス）の主要都市でした。パウサニアスの『ギリシア案内記』には、アムピッサとアンドレモナスの墓、アテナ神殿、トロイアから運ばれた銅像など、当時の様子が記されています。近年発掘調査によって、紀元前8世紀にはコリントスやペロポネソス半島北西部の都市との交易で商業が栄え、紀元前7世紀にはポリスを形成し、芸術と交易で3世紀にわたって繁栄したことが分かっています。紀元前653年には、一部住民がイタリア半島南部（マグナ・グラエキア）に移住し、ロクリの町を建設しました。アムピッサの暦は他のロクリス地方のポリスと異なり、貨幣にはアポロンの肖像と「ΑΜΦΙΣΣΕΩΝ」の文字、槍、カリュドーンの猪の顎骨、星、ブドウが描かれていました。

テルモピュライの戦い後、ペルシア軍の侵攻を受けましたが、強固なアクロ[[ポリス]]のおかげで、ポーキス地方の住民が避難しました。ペロポネソス戦争ではスパルタ側に味方し、寡頭制政治を敷いていました。アテナイにおけるペリクレスの民主政治の影響は、アムピッサでは成功しませんでした。デルポイの碑文からは当時のアルコンたちの名前も確認できます。

紀元前426年にはスパルタの将軍から使者が送られ、アテナイとの関係の調整を迫られました。ペロポネソス戦争後はテーバイと同盟を結び、コリントス戦争ではテーバイ、アテナイ側につきました。第三次神聖戦争ではテーバイ側についたアムピッサは、紀元前338年にマケドニア王ピリッポス2世によって破壊され、住民は追放・移住を余儀なくされました。これが「第四次神聖戦争」と呼ばれる出来事の一つです。その後アムピッサは再建され、アエトリア同盟に参加するなど、変遷を続けました。ローマとの関係の中で、一時的に自治や免税を得るものの、再びローマとの戦争に巻き込まれることになります。

中世以降

中世初期には、西ゴート族やフン人の侵略を受け、大きな被害を被りました。451年には司教が置かれ、530年にはユスティニアヌス大帝によってクリッサエア平原の町が要塞化されました。9世紀以降はブルガール人の侵略を受け、996年にはサムイルによって破壊・虐殺されるという大きな被害を受けました。1147年にはノルマン人が侵攻しましたが、アンフィサは略奪されませんでした。1205年の第4回十字軍後、モンフェッラート侯ボニファーチョ1世はテッサロニキ王国を建国し、アンフィサをサロナと改名、城壁を築きました。1311年にはカタルーニャ人に支配され、1394年にはオスマン帝国に征服されます。1580年の地震、18世紀の対オスマン帝国戦における拠点としての役割、そしてギリシャ独立戦争における抵抗など、歴史的転換期を経験しました。ギリシャ独立戦争中には一時的にサロナを首都とする「本土東部ギリシャ国」が成立しましたが、1825年にオスマン帝国に奪還されました。その後、アンフィサは現在の姿へと変貌を遂げています。

参考文献

「2001 Census」(National Statistical Service of Greece)
「The Princeton Encyclopedia of Classical Sites」
「Hieroclis Synekdemos (Guide)」
パウサニアス、『ギリシア案内記』
Galaxidi Chronicle
Petros Kalonaros, History of Amfissa, 1997

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