ティーヴァ

ティーヴァ（テーバイ）とは

ティーヴァ（現代ギリシャ語: Θήβα / Thiva）は、ギリシャ共和国中央ギリシャ地方ヴィオティア県に位置する都市であり、その周辺地域を含む基礎自治体です。古代ギリシャ時代にはテーバイ（テーベ）として知られ、アテナイやスパルタと並び、覇権を争った有力な都市国家の一つでした。また、多くのギリシャ神話の舞台としても有名です。

地理

ティーヴァ市街はヴィオティア県東部に位置し、ハルキダから南西へ約29km、県都リヴァディアから北北西へ約41km、首都アテネから北西へ約53km、ラミアから南東へ約100kmの距離にあります。ヴィオティア（古名: ボイオーティア）とアッティカを分かつキサイロナス山脈の北麓、ヴィオティア平原の南端にあたります。

自治体としてのティーヴァ市は、2011年の自治体統廃合によって、ティーヴァ市街から南西方向に大きく広がり、コリンティアコス湾に面する領域を有しています。ティーヴァ市街は市域の北東部に偏っており、ティスヴィ地区（市域最西部）の中心集落であるドンヴレナは、ティーヴァ市街から西南西へ約30km隔たっています。

市域は、ティーヴァ市街から見て北西でオルホメノス市、北東でエヴィア県ハルキダ市、東でタナグラ市に隣接します。南にそびえるキサイロナス山脈は古来よりアッティカとの境界となっています。ティーヴァ市街の北方にはイリキ湖とパラリム二湖があり、自然保護区に指定されています。市域南部からキサイロナス山脈の山岳地帯が続いており、コリンティアコス湾沿岸は山が海へ落ち込む地形となっています。

歴史

ティーヴァ（古名: テーバイ）とその近郊からは、青銅器時代にさかのぼる古い遺跡が見つかっています。ミケーネ文明の遺跡からは線文字Bの記された石版も発掘されており、その歴史の深さを物語っています。神話にもたびたび登場し、カドモス、オイディプース、ディオニューソスゆかりの地として知られています。

ギリシャの都市国家の時代において、テーバイはボイオーティア地方最大の都市であり、ボイオーティア同盟の盟主でした。ペルシャ戦争においては、紀元前480年のクセルクセス1世のギリシャ進攻に際して、アケメネス朝ペルシャに味方しました。紀元前371年、レウクトラの戦いにおいて、エパメイノンダス率いるテーバイ軍はスパルタ軍を破り、テーバイがギリシャの覇権を握ることとなりました。しかし、紀元前362年のマンティネイアの戦いでエパメイノンダスをはじめ多くの将軍を失い、覇権は長くは続きませんでした。

マケドニア王国のピリッポス2世は、覇権国家だった当時のテーバイに人質として暮らし、エパメイノンダスから教育を受けたとされています。紀元前338年のカイロネイアの戦いで、ピリッポス2世とその子アレクサンドロス3世が率いるマケドニア軍と戦ったテーバイ軍は敗れました。紀元前335年、マケドニアに叛旗を翻したテーバイは、アレクサンドロス3世によって破壊され、住民は殺害されるか奴隷として売り飛ばされるかの運命をたどりました。

アレクサンドロス3世の死後、ディアドコイ戦争の中でマケドニアに割拠したカッサンドロスは、紀元前316年にテーバイの再建を認めました。東ローマ帝国の統治下では、異民族の侵入からの避難場所としての役割を果たしました。10世紀以降、ティーヴァは絹取引の中心地として繁栄し、12世紀の中頃には首都コンスタンティノープルすら凌ぐ帝国最大の絹の生産都市となりました。ティーヴァの女性は優れた織物の技術で知られ、中世においてティーヴァの絹織物は高い品質と評価を得ていました。

1458年にオスマン帝国がこの地を占領し、ティーヴァの名をイスタフェ（İstefe）と改めました。1687年から1699年にかけてヴェネツィア共和国が占領したことはあったものの、オスマン帝国は1829年まで（名目的には1832年まで）この地を治めました。

社会と産業

現代のティーヴァは繁華な商業都市であり、多くの産品で知られています。1980年までは農業生産物といくらかの工業製品を生産していましたが、1980年代から90年代にかけて多くの工場がアテネに近い南へと移転していきました。

この地域の観光業はティーヴァとその周辺の村が中心地です。古代史の舞台となった土地や遺跡が多くありますが、アテネやハルキダといった著名な観光地に比べれば、産業としてはまだ発展途上です。

交通

ティーヴァ市街の北方には、アテネとテッサロニキを結ぶ高速道路A1号線が東西に走っています。また、ティーヴァ市街から南ヘキサイロナス山脈を越えてサロニコス湾沿いのエレフシナに至るGR-3号線も主要な路線です。アテネとテッサロニキを結ぶ幹線鉄道も市内を通過しており、交通の要衝となっています。

著名な出身者

ピンダロス - 紀元前5世紀の詩人
ペロピダス - 紀元前4世紀の政治家
エパメイノンダス - 紀元前4世紀の将軍
アリスティデス - 紀元前4世紀の画家
ニコマコス - 紀元前4世紀の画家
テーバイのクラテス - 紀元前2世紀の哲学者
* ハリス・アレクシーウ - 歌手（1950年生まれ）

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