イエス大師

イエス大師の教えと影響

イエス大師（Master Jesus）は、近代神智学において重要な霊的指導者の一人と見なされています。この教えは、神智学協会と昇天大師派の影響を受け、キリスト教の救世主であるイエス・キリストを中心に据えています。彼の存在はキリスト教世界に深い衝撃を与え、カトリック教会が近代神智学に対して嫌悪感を抱く原因の一つと言われています。

近代神智学とイエス大師の位置づけ

近代神智学の創設者であるヘレナ・P・ブラヴァツキーは、イエス大師と直接の接触を持ったとされていますが、彼女の教えにおける大師方の概念は、後にアニー・ベサントとチャールズ・ウェブスター・レッドビータによって確立されました。彼らは共著『人間 - どこから、どうやって、そしてどこへ』の中でイエス大師を大師の一人として位置づけています。特に彼は、ネオ神智学でも古代の知恵を持つ大師とみなされ、昇天大師派ではアセンデッドマスターとして知られています。この秘密結社であるグレート・ホワイト・ブラザーフッドの一員として、彼は特有の霊的役割を果たしていると考えられています。

イエス大師の前世に関する考え

イエス大師の前世に関する興味深い見解もあります。普遍勝利教会の教祖エリザエス・クレアの教えによれば、彼はアトランティスの皇帝として二度転生したとされています。アリス・ベイリーは、彼が紀元前13世紀にはヘブライの軍事指導者ヨシュアに、紀元前16世紀には大祭司のヨシュアとして生まれ変わったと述べています。このような見解は、イエス大師の役割が単なる宗教的な枠を超えて、歴史的にも重要であることを示しています。

磔刑と昇天に関する信仰

昇天大師派の信者にとって、イエス大師はエルサレムでの磔によって「第四段階のイニシエーション」を受けたと信じられています。また、アリス・ベイリーやベンジャミン・クレームの教えでは、イエスが肉体から復活したとき、彼はテュアナのアポローニオスに生まれ変わったとされています。しかし、昇天大師派の信者はイエスが自身の肉体を伴って復活し、その後昇天したとするキリスト教的見解も支持しています。彼らによれば、イエスは復活後の40日目にカシミールへ空中移動し、そこで81歳まで生き、シャンバラに昇天したと信じられています。

懐疑的な見解

一方で、このような信仰体系には批判的な見解も存在します。K・ポール・ジョンソンは、ヘレナ・P・ブラヴァツキーの大師方に関する記述は、彼女の理想化された助言者たちの表現にすぎないと主張しています。また、ニューヨーク・タイムズの記事を引用したポール・ツワイクは、ブラヴァツキーの啓示が欺瞞的なものであったと考えています。このような懐疑的な見解は、イエス大師や近代神智学全体の教えの信憑性や意義を問いなおす契機ともなっています。

まとめ

イエス大師の存在は近代神智学において非常に重要であり、その教えや信念は、宗教的・霊的な領域を超え、さまざまな影響を与え続けています。彼の教えに対する賛否は分かれるものの、彼が形成した思想は、今日においても多くの人々にとって探求の対象となっていることは間違いありません。

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