イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ

イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ(IMI)の歴史と兵器開発



イスラエル・ミリタリー・インダストリーズ(Israel Military Industries、IMI)は、イスラエルを代表する兵器コンツェルンであり、その製品は実戦で鍛え上げられた高い信頼性を誇ります。2016年1月1日に正式社名をIMIシステムズ(IMI Systems)に変更しましたが、本稿では、広く知られた略称であるIMI社と表記します。

設立の背景と初期の活動



IMI社のルーツは、1933年にユダヤ国防組織「ハガナー」が武器密造を開始したことに遡ります。当時、武器援助が期待できなかった状況下で、海外のユダヤ人からの支援、特にチェコユダヤ人による製造機器の密輸が重要な役割を果たしました。1948年のイスラエル建国後、IMI社は兵器の国産化を推進し、海外の兵器を参考にしながらも、イスラエルの気候や戦況に適応させた改良を重ねてきました。

1940年代後半には、国産機関「ドロール軽機関銃」の改良・生産を行い、初のオリジナル兵器として「76.2mmダヴィドカ迫撃砲」を開発しました。

IMI社の飛躍と変遷



1954年短機関銃「UZI」が完成し、IMI社の名前は世界に知れ渡りました。その後も、1973年にはAK-47をコピーした「ガリル」アサルトライフル1979年にはMBT「メルカバ」戦車を開発し、その名を轟かせます。

1980年代には、イタリアの技術を導入した「ジェリコ941ピストルや、マグナムリサーチ社の依頼で「デザートイーグル」の基本形を開発するなど、多岐にわたる兵器開発を行いました。

1990年には半官半民体制となり、1997年には軽機関銃「ネゲヴ」、1999年には次期主力アサルトライフル「タボール」を開発しました。2001年には、新世代センサテック・フレームを採用した拳「バラク」を開発しました。

2002年に国防軍から独立し民間企業となりましたが、2005年には小火器部門が独立し「イスラエル・ウェポン・インダストリーズ(IWI)」として再スタートしました。以降、IMI社の小火器はIWI社が生産・販売を行っています。

2013年イスラエル政府はIMIの民営化を決定し、弾薬製造部門などを民間に売却しました。2016年には社名をIMIシステムズに変更し、2018年にはエルビット・システムズの子会社となりました。

IMI社の主な製品



IMI社は、小火器から戦車、ミサイル、ロケット砲まで、多種多様な兵器を開発してきました。以下に、代表的な製品をいくつか紹介します。

小火器



デザートイーグル:マグナム・オートピストルの代表格。
ジェリコ941:タンフォリオ社の技術を導入。
バラク:ポリマーフレームを採用した新型ピストル
ウージーピストル:UZIを拳化したモデル。
サブマシンガン
UZI:グリップ部に弾倉を装着したバランスの良い短機関銃
ミニ UZI、マイクロ UZI:UZIの小型化モデル。
UZI プロ:センサテックを多用したマイクロUZIの発展モデル。
アサルトライフル
ガリル:AK-47をベースにイスラエル向けに改良。
ガリル・スナイパー:ガリルの狙撃モデル。
ガリル・エース:ガリルの近代化モデル。
タボール:ブルパップ方式の次世代アサルトライフル
X95:タボールの派生型で口径変換が可能。
軽機関銃
ネゲヴ:歩兵向けの汎用機関

その他の兵器


メルカバ戦車イスラエル初の国産主力戦車
120mm戦車:メルカバの主砲。
ショレフ自走榴弾砲:メルカバをベースに開発された試作自走榴弾砲。
ナメル装甲兵員輸送車:メルカバをベースに開発。
MAR-240/290多連装ロケット砲:鹵獲したソ連製BM-24をベースに開発。
リンクス自走ロケットランチャーシステム:多様なロケット砲を搭載可能。
TALD空対地デコイ:アメリカ軍にも採用された。
MSOV滑空誘導爆弾:長射程の誘導爆弾。
デリラ巡航ミサイル/徘徊型兵器:航空機搭載型、艦載型、ヘリコプター搭載型も存在する。
MAPATS対戦車ミサイル:レーザー誘導方式を採用。
B-300 シーポン対戦車ロケットランチャー:アメリカ軍でも採用。
ブレイザーERA爆発反応装甲:車両の防御力を向上。
アイアンフィストアクティブ防護システム:車両を敵の攻撃から防御。

IMI社の現在



現在のIMI社は、陸戦火器部門、弾薬製造部門などに分かれており、テルアビブ市内のラマト・ハシャロンに拠点を置いています。小火器部門の敷地内の一部は、現在もIWI社として活動を続けています。

IMI社は、長年にわたりイスラエルの防衛に貢献し、数多くの革新的な兵器を開発してきました。その製品は、世界中の軍隊や法執行機関で採用されており、その技術力と信頼性の高さは広く認められています。

脚注



IAI:イスラエル・エアロスペース・インダストリーズ
ラファエル社:ラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ

外部リンク



IMI 公式ウェブサイト
IWI 公式ウェブサイト

もう一度検索

【記事の利用について】

タイトルと記事文章は、記事のあるページにリンクを張っていただければ、無料で利用できます。
※画像は、利用できませんのでご注意ください。

【リンクついて】

リンクフリーです。